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2023年03月14日16:19

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1592

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1592        

門前典之 「友が消えた夏 終わらない探偵物語」 

これは文庫本書下ろしの本格派ミステリー。

僕が初めて接する著者だ。末尾に著作リストがあり、
1997年の処女作から本書まで9冊しか出版されて
いない。純文学ならともかく大衆小説としては
かなり少ない。本が売れないから執筆の依頼が
なかったのか、あるいは著者には本職があり、筆を
とる時間がなかなかとれなかったのか。

なかなか凝った仕掛けの推理小説である。いわゆる
本格派ミステリーのさまざまな要素が入っていて、
この種のミステリー好きなら、かなり堪能できる
のではないかと思う。

過去の二つの事件が交互に著される。そして、
それを現在の探偵事務所の二人が追いかけて
推理する構成となっている。

過去の事件の一つは、大学の演劇部の男女の
学生が伊勢志摩にある大学の学長が所有する
洋館に合宿する。ここで連続殺人事件が起こる。
犯人の可能性があるのは、最近刑務所から
脱走した犯罪者と、あとはサークルのメンバー
しかいない。外部からの侵入が難しい状況で
脱走した男はどのようにして入り込んだのか?
内部犯行の場合、動機が不明である。そして
“密室”状態における犯行であった。

もう一つは、OLの誘拐事件。名古屋に一人で
住む女性が東京出張のためマンションを出て
タクシーを拾う。だが、このタクシーの運転手に
誘拐されてしまう。この男、彼女の個人情報に
精通している。気味が悪い。少し前から
マンションの部屋に誰かが侵入した跡がある。
しかし何も盗まれていない。この侵入犯が
タクシー運転手なのか? だとして、彼女を
誘拐する目的は何なのか?

読者をミスリードする手法は、なかなかの
ものと思った。

トリックの創作に時間がかかったため、
遅筆になったのであろう。

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