わっしょい！

　仕事から帰り、部屋の灯りを点ける。シャツを脱いでカゴに投げる、靴下も。椅子に腰掛ける。お気に入りのリクライニング、この部屋の定位置、手を伸ばせばカサカサ音、弄る。湿気った煎餅が一枚出てきた。オートメイションで口の中に入れる。
　視界に変なものが見えた。
「ん？」
　天井から何かぶら下がってる。ヒモ？いやロープだな。黄色と黒のトラロープってやつだ。天井から垂れ下がり、頭上付近で輪っかになってる。
「これで首でも括れってのか？」

　くそっ！またアイツらだ。留守の間に勝手に入って悪戯しやがったな！それにしても悪趣味な悪戯だ。悪ふざけが過ぎる。次に会ったら文句言ってやる。
　見上げる。どうなってんだ天井の所？なんか金具みたいなので固定してんなぁ。やりすぎだろ？出るとき金取られるぞ。アイツら、弁償させてやる。

　もういい。腹立てたら疲れた。風呂もいいや。朝シャワー浴びればいい。寝よう。ベッドに入る。仰向けに寝て、腰に手を当て、両脚を上げ下げする運動。これやると意外にすんなり眠くなる。＆スマホで歴史小説を読む。漢字が多いほど眠くなる眠くなる。そのうち寝てしまった。

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「オイッ！何すんだ？止めろ」
「わっしょい！わっしょい！」
「オマエら！何時だと思ってるんだ！」
「わっしょい！わっしょい！」
「担ぎ上げるな！降ろせよ」
「わっしょい！わっしょい！」
「ちやっ！ち、オマエら！ふざけるな！」
「わっしょい！わっしょい！」
「ロープ危ないて！止めろ！首入っちゃうだろ」
「わっしょい！わっしょい！」
「冗談が過ぎるって、マジ危ないって！うわづ、首入った首首っ！」
「わっしょーい！」
「んごっ、ぐげ、おばえら、ヤベッテクレ！し、しぬ、しずるよ。くるひいよ」
「わっしょい！わっしょい！」

　――嗚呼、そういえば俺、友達いないんだった。