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2020年08月05日07:42

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1411

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1411       

平野啓一郎 「マチネの終わりに」        

芥川賞作家の2016年の作品だが、売れ行き好調の
ようで版を重ねている。

小説好きの人間は、自分の実生活では味わえない
大冒険や大ロマンを欲しているわけだが、この
作品はそういった読者ニーズに応えていると
言えるだろう。大恋愛小説なのだ。

同じ恋愛小説を書くならば、できるだけ現実離れ
した夢の世界のほうがたっぷりと楽しめる。
というわけで、この小説の主人公は世界を股にかけて
活躍するギタリスト(38歳)とパリに本拠を置く
通信社のジャーナリスト(40歳)との恋愛物語
である。

二人とも結婚歴はない。だが、彼女には大学時代
から付き合っている婚約者がいる。彼には交際
相手はいないが、彼のマネジャーはひそかに彼に
思いを寄せている。

彼と彼女は出会うが、一目会った時点から彼らは
ひかれあう。そして再会するわけだが、彼らが
別れるまで直接会うのはわずか3回。電話や
メールのやりとりはあるものの、会うのは3回
なのである。それでも、二人は結婚を考える。

運命のいたずらと、ある人間の故意の行為により
二人は別れる。そして、彼女は元婚約者と結婚し、
一児をもうける。だが、少しして離婚する。
彼のほうも、マネジャーと結婚し、やはり一児を
もうける。それぞれがそれぞれの新たな人生を
歩むわけだが、かつての恋愛を忘れることはできない。

二人は再会するのだろうか? 再会するとしたら、
どのような展開になるのか? 固唾をのんで読者は
見守ることになる。

メロドラマと言えばメロドラマ。なにか人生や
日頃の生活になるヒントがあるかと言えば、その
ようなものはない。ひたすら純度の高い恋愛に
酔いしれる、そういう小説なのだ。

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