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2018年02月12日09:06

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1256


☆洋ちゃんの読観聴 No. 1256

伊東潤 「西郷の首」                    

幕末から維新そして西南戦争まで生き抜いた二人の
男の話。加賀藩の足軽の島田一郎と千田文次郎は
親友どうしだ。幕末において加賀藩内でも尊皇攘夷派と
佐幕派がいるが、とりあえず藩は中立的立場をとる。

学問に秀でた一郎は尊王攘夷派で、藩内の攘夷派と
関係を深める。文次郎は剣術にすぐれ難しいことは
分からないが、この国を変えていかないといけないと
いう流れにはなんとなく共感はしている。

時代の早い流れの中で加賀藩は乗り遅れ、新政府に
なっても薩長などから成る政府中枢に人を送り込めない。

廃藩置県や廃刀令など維新政策が進む中で士族の
生活が貧窮し、一郎は反政府活動に傾倒していく。
一方、文次郎は陸軍に入り昇進していく。そして
西南戦争に派遣される。

題名は「西郷の首」だが、実は西郷隆盛はほとんど
出てこない。

著者は幕末・維新の時代の作品を3〜4作出して
いるが、本作品が集大成という感じがする。
天狗党や西郷の懐刀など過去の作品に登場した
人物たちも登場する。

一人の人間が藩士、武士、志士という3者の立場の
狭間で苦しむ。藩の命令に逆らうわけにはいかない。
武士として貫かなければならない一線はある。
時代が大きく変わろうとしているとき志を持たない
はずはない。これらに加えて夫や父として当たり前の
家族への情もある。

伊東潤という作家は、僕は書き過ぎだと思っている。
じっくり時間をかけて作品を出せばと思うのだが、
著者として書きたいテーマがたくさんあるのだろう。

ここ数年の彼の作品中で本作品はベストだと確信する。


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