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2016年10月01日16:40

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「アイ・ソー・ザ・ライト」〜陽気の裏側

カントリー・ミュージックの父、ハンク・ウィリアムスの伝記映画。父といっても29歳の若さでこの世を去っていった伝説のシンガー。名前だけはやたらと聞くけど、それ以外はあまり知らないという存在と言ってもいいかも。主演にトム・ヒドルストン、監督・脚本はマーク・エイブラハム、音楽プロデューサーに思いがけなくロドニー・クロウェルの名前が。

主演トムは劇中歌をすべて実際に歌ったということだけど、それぞれがやや短か目で消化不良。こちらとしてはなじみのある曲が少ないので、もうちょっとじっくり味わいたかった(エンドロール後半になってやっとあの有名曲が…)。それでも隣席の初老の男性などは、世代的にストライクゾーンなのか、曲が流れるたびに身を乗り出して口ずさんでいた。

ショービジネス的な世界を前面に押し出すのではなく、あくまでハンク本人とその周辺部のみを淡々と描くことに徹している。彼が妻以外の女性におぼれたり、アルコールに依存したりする日々、そして彼自身のなかにすこしずつ宿る狂気めいたもの…物語が後半に向かうにつれ、彼自身の成功とは裏腹に、観ているこちらは徐々に気持ちが重くなってくる。

陽気で明るい曲調のカントリー・ミュージック、そしてハンク本人の苦悩の日々、そのコントラストが実にうまく演出されていると思う。ただよくある音楽伝記物のように、当時の音楽シーンが垣間見えるとか、誰かが実在の有名歌手を演じて登場するということがないので、物語全体のダイナミズムには欠けていたような気もする。地味ながら味わい深い作品ということです。
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