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2014年12月13日08:22

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1025

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1025                

佐々木克 「幕末史」                  

ほっかほかの新刊(ちくま新書)である。著者は京都大学
名誉教授で、明治維新研究の第一人者らしい。

実は、僕にとって、日本の歴史の中で一番わけが
わからないのが、この幕末〜明治維新なのだ。だが、
この本のおかげで長年の疑問がとけた。

僕の素朴な疑問は、「尊皇攘夷」(天皇を奉り外国を
排除する)が何故「改革派」なのか? 開国を行なった
徳川幕府が何故「保守派」なのか? ということだ。 
王政復古をめざし鎖国を続けるほうが古い、外国に
門戸を開放するほうが新しい、と僕は思っていた。

この書を読んで、大変勉強になった。

そもそも「攘夷」とは何か? アメリカに脅され、
泣く泣く結んだ日米修好通商条約は不平等条約で
あったわけだが、この不平等をただし対等な条約を
めざすのが「攘夷論」ということなのだ。つまり著者に
よれば、攘夷論とは条約改正論ということになる。

ただし、条約改正の方法では、強硬論(長州)と
穏健派現実論(薩摩)があり、当初は対立していた。

お隣の中国(清)がむしばまれるのを見て、当時の
日本の中枢部(朝廷も幕府も)は早くなんとか
しないととあせっていた。その点では、後に幕府に
大政奉還を迫る薩摩・長州などのリーダーも同じ
思いだった。「挙国一致」してことにあたらなければ、
という強い思いは天皇にも将軍慶喜にも、もちろん
西郷隆盛らにもあった。

特に外国との戦争を避けたいと主張する孝明天皇の
リーダーシップや、早い時期から徳川が政権から
降りることを考えていた一橋慶喜の柔軟な対応
(それが一般的にはわかりづらく各方面からの批判を
浴びるのだが)は興味深い。そして、お馴染みの
坂本竜馬の活躍も詳しく書かれている。

旧政府から新政府へのソフトランディング、そして
新政府樹立後のスピーディーな近代化。これらを
著者は(今日の政治の混迷と比べてであろうが)
絶賛している。・・・明治維新の専門家としての
私情も入っているかもしれないが。
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