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日記一覧

詩『迷子』
2014年11月04日18:32

稲妻にサいた地の底のやみの記憶が脳髄をつく黒い点に固執する男のまなざしはオしつぶされた世界に染まりつくして宇宙のはての住人と通じている天井の細長い恒星をよりどころにカシャカシャと機械になってまなこを通る色を記録しながら抜けだした過去の信号を

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容姿に恵まれた姉のうしろで妹はいつも泣いていた姉にいじめられたわけでも恨んでいたわけでもないただ自分も姉のように生まれていたらと光のあたる姉の影になって目立たないように姉は何でも手際よくこなした妹はママにおこられないように服を汚さないように

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手も足も突撃を欲しているが脳天から送られる信号のために沸騰するカタマリが釜の壁を激しく鳴らしている振動は見破られているが扉を開けるわけにはいかない破裂しそうな壁を鎖でしばりつけ一瞬で気化する氷を噛みしめながら頑強な箱へと向かう視界のすべてに

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1988年秋 未知なるものに出逢った 私はまだ二十歳 上層世界を見渡せば 雑草がかろうじて生えていて 横一線に並んだ男とも少年とも言えない半端者どもが 何も知らずに首をふらつかせて笑っていた 夢を語る者もいず 巨人の囁く夢をうのみにして 門を出された後

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詩『いなか都会』
2014年11月01日22:29

扉は左右にひらき私を中洲にして人が流れていく降りそそぐアナウンスの滝が背をおせば車内を出ていく匂いと押しこまれる匂い見知らぬ世界はとざしたままでたまごが当たらぬように整然と550Hzはやさしく通りオーケストラのチューニングと咳払いひとかけらの過

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透きたる壁にかくまれて すぎたる水に漬かさせて 十二単を引きしろひ うるはしき赤、いつはれり 光あるうち懸命に 身をばけづりて揺り游ぐ 目皮の閉づるよひやみに とこに逃ぐるは青をとこ さかづる心もちたれど 今はあたはず真砂にて 夢路にかよふ川くだり

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