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2014年11月02日19:27

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課題詩『バベル街の異殺』


1988年秋
未知なるものに出逢った
私はまだ二十歳
上層世界を見渡せば
雑草がかろうじて生えていて
横一線に並んだ男とも少年とも言えない半端者どもが
何も知らずに首をふらつかせて笑っていた
夢を語る者もいず
巨人の囁く夢をうのみにして
門を出された後
皆ぞろぞろと歩いた
同じ方角へ
暫くするとしびれを切らした一人が走り出す
私は空を仰いだ
灰色が全てを覆い一欠片の陽もない
辺りを見回すと私一人
歩くほかはない
遥か後方に退いた門はすでに閉ざされていた
行けども同じ景色に私は空想にふける
赤い血が滾る時
青くぼやけた中心の先に立ちのぼる湯気
その先にある暗闇
はっとして見渡すと荒野
再び空を仰ぐと雲が近づいている
前方に黒い点
足が早まる
黒い点は変わらない
やがて走り出す
地面が上り坂になっているようだ
空は手に届きそうなほど近い
走った
息を吸い込むことさえ忘れて走った
疲れを知らない足が高速で回転している
黒い点は点ではなかった
小さな街の中心
おびただしい数の人々が
一本の梯子を奪い合っていた




*あるサイトの「無茶振りタイトルで書く詩」への投稿分。「異殺」の意味分かりません。字面のイメージで書いてます。
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