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日記一覧

「説明された物語より説明されない物語の方がはるかに上、つまり映画や小説よりも写真や絵の方が、物語として単純に完璧。心の中にしまうのではなく飼ってしまうような絵は不穏で、忘れられない」(カリエール)「観る者をひきこんで疎外する。そして人間はみ

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ずいぶん前に買ってあった。「倚りかかるのは椅子の背もたれだけ」と言われても「自分の感受性くらい自分で守れ ばかものよ」と言われてもはあそうですね、としか反応しようがないな。センスがないんだろう・・。

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姜尚中「在日」
2019年03月24日22:33

満州事変の頃に職を求めて熊本に来た父と、その父を頼りに太平洋戦争勃発の年に日本に渡って来た母。「在日一世たちの出会いと別れの記憶は私を捉えて離さず、私の正体をなしている」それなのに「彼らから星降るような慈しみと愛を受けながら、彼らの喜びと悲

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川上弘美「此処 彼処」
2019年03月23日23:14

「どんなにこの世が無常であっても、去って行ったもの、今あるもの、これからあらわれるもの、名のあるもの、未だ名づけのされていないもの、すべてをひとしく見ていたい」と願う作家の「場所」にまつわるエッセイ。作家のエッセイは1.自分の感覚とは違うし、

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「沖で待つ」絲山秋子
2019年03月23日18:09

同僚と、どちらかが死んだらPCデータを消しに部屋に入ろうと、鍵の交換をする。それが現実になるという話だがフセンゼロなので、印象深いところなし、ってことで。

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湯本香樹実「岸辺の旅」
2019年03月23日17:55

行方不明だった夫が、死者として3年ぶりに戻ってくる。妻は夫とともに、夫の旅をともに旅する(夫は繰り返す)。「死者にとっては懺悔の旅であり、生者にとっては失ったものを取り戻す回復の旅であり、もう何によっても分かたれることのない繋がりを得る、生

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青山七恵「窓の灯」
2019年03月23日17:11

向かいのアパートの部屋を覗く日課の女。目の前の人にも「目の前にはいても、この人たちはどこか遠いところにいる。投げつけた言葉からこぼれる私の気持ちは、むなしく宙に浮かんで、誰にも摑んでもらえないまま消えてしまう。この人たちはいつだって見

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イラクには戦争関連の仕事がある。貧しい国の男たちにとっては魅力的だ。そこに安田は取材目的で潜入する。それだけで、常人じゃあないと思う。昨年暮れのシンポジウムでの、何か所在なげな感じを思い出す。ジャーナリストの指名感に突き動かされて身体を張る

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桜木紫乃「ラブレス」
2019年03月23日14:49

道東の極貧の開拓村で生まれ、15歳で偶然観た旅芸人一座と行動を共にし、そこで出会った男の子を産み別れ、流れ流れて、人生の最期に、その男に看取られる。姪は思う。「わたしたちは今、願っても探しても、これから先どう生きてゆこうと、決して手に入らない

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「こんなにも、地球のことを知った利口な人間が、どうして、地上で、まだ戦争をして、殺し合いなどするのだろう。そんなばかげたことを、どうしてやめさせることが出来ないのか。考えると不思議なくらいだ。しかし、人間が自分自身のこころを充分に知ることが

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湯本香樹実「夏の庭」
2019年03月23日14:19

今にも死にそうな独居老人を観察する子供たちという、なんとも奇妙なでもありそうな話。死に際の犬が「僕のことを大きな黒い目でただ見ていた。不安そうに。そしてその不安が僕にはすごくよくわかった。僕も不安だったのだ。突然、何か大切なものが自分をおい

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「やる気あるか、ないのか、どちらなんだ」YESorNOという問は嘘を答えさせてしまう。そう言えば、嘘と隠蔽は違うとかグレーゾーンがあるとか言う国会答弁があったが、官僚のこの正直な物言いには感動した。「原因から治そうなどとはしない。それが可能だとし

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御宿のリゾートに移住してきた人々と、ずっと暮らしてきた人々。ともに人生の黄昏(トワイライト)に立ち、絶望し諦め、過去の取り返しのつかない過ちを思い、わずかな楽しみを支えに、なんとかよろよろと生きて行く。日本の男と結婚しインドネシアから房総に

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人生の黄昏に死に向かい合い、後悔に苛まれ、あるいは新たな希望を見つける人々。地方に住む決して物質的に裕福でない人々の方が、都会に住み経済的には何不自由ない人々の方が幸福でないようだ。偶然帰省していて東日本大震災時に遭遇し、なんとか生き延び、

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