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日記一覧
- 町田康「リフォームの爆発」
- 2019年10月24日21:44
町田康リフォーム小説、第何弾だろう？ただ、家をリフォームするだけのことで、延々長編をものにする町田。部屋の方角とか陽当たりとか、なぜそれがめなのか、そこをリフォームするとどこに新たな不具合が出て、それを直そうとすると・・・という永久リフォー
- 内田百�痢嵬重咫�
- 2019年10月17日14:34
小川洋子のありえないものを探してくれる「注文の多い注文書」に、ページルビが振られていないから落丁がわからないというこの小説のあるページが落丁しているという噂の1冊を探してくれという注文者が登場する。で、この、ちくま文庫の「内田百�僚言�3」の冒
- プリーモ・レーヴィ「休戦」
- 2019年09月23日13:48
終戦後、収容所から故郷トリノに帰還する困難の10か月。彼らを解放するロシア軍は「正しいものが他人の犯した罪を前にして感じる屈辱感」に満ちている。「自分の善意は無に等しく、世界の秩序を守るのに何の役にも立たなかった」からだ。「人間の正義がそれを
- プリーモ・レーヴィ「これが人間か」
- 2019年09月23日12:15
フランクルは、アウシュビッツにあっても「生きる意味」はあると書いた。「生きる意味」を見いだせないなら自由な生活のなかでも絶望するが、「生きる意味」を見いだせるならアウシュビッツにいても絶望しない、と書いた。生きる意味とは、収容所から見える青
- 「空をゆく巨人」川内有緒
- 2019年09月14日13:42
現代アートのスター蔡國強と、いわきの千本桜の志賀忠重の物語。この手の、エネルギッシュで個として独立した人々しか出て来ないノンフクションは苦手だ。ふーんすごいね、としか言いようがない。そして宮崎駿と志賀を重ねる賛辞と「たった」2日で読んだ（350
- 宮下奈都「静かな雨」
- 2019年09月13日16:37
事故で記憶が1日したもたない「こよみ」を「静かな雨」のように愛し続ける、先天的に足が悪く引きずって歩く「行助は（ゆきすけ）」。1日しか記憶がもたない不安と絶望はいかばかりか。思い出したくもない記憶であっても、記憶は僕らを支えると思う。記憶の原
- 川端康成「たんぽぽ」
- 2019年09月13日16:09
人体欠視症。触れた部位から相手の身体が見えなくなる、という奇病。小川洋子の「注文の多い注文書」の1話に出てきて知った。つまり、身体を触れあう頻度の高い近しい者ほど見えなくなるという、人間の真実の比喩のような病。川端の絶筆で未完。誰かを凝視す
- 「猫の客」平出隆
- 2019年09月01日01:00
隣家の猫「チビ」が庭に遊びきて、上がりこむようになる。チビは交通事故で死に、隣家が埋めたと言う欅に参らせて欲しいと言うが、隣家は自分の猫がとなりでくつろいでいたのが切ないらしく、よい返事をよこさない。「死体を封じた場所に立ちたいという心理は
- 友川カズキ「一人盆踊り」
- 2019年08月31日17:48
これを読んで、ついＣＤを買ってしまった。ライヴなんてやってるのかと思ったら、かなりやっているので、行ってみようかと思うが、友川好きの聴き手って？と思うとなんだかビビる。（笑）「才能もテーマも私には程遠いものである。眼前にもやたつ訳のわからな
- ルシア・ベルリン「掃除婦のための手引書」
- 2019年08月31日17:20
読書界話題のルシアベルリン。正直よくわからない。僕にとって、そぎ落とされ過ぎているのか、翻訳だからか。アメリカのライフスタイルが身体化されていないと、あるいはかなり熟練した読者でないと味わえないんだろうな、と思うが、そうなりたいとは思わない
- 島田雅彦「君が異端だった頃」
- 2019年08月16日22:08
同い年の島田が「優しいサヨクのための喜遊曲」でデビューしてから、ずっと読み続けてきた。1度何かの講演で見たが、おどおどと神経質そうな、早くこの場を去りたいんだがという風情の、イメージ通りの男だった。「人は目標に向かって努力しているように見え
- 小川洋子、堀江敏幸「あとは切手を、一枚貼るだけ」
- 2019年08月15日15:58
男女の往復書簡による物語。男の姪が海の事故で亡くなった（その出来事ははっきりとは語られない）ことに、女は自責の念を負い「まぶたを閉じて生きる」ことに決める。男はなんらかの理由で盲目のようだ。いや、気持ちの比喩だと思ってもいいのだろう。その不
- KAI BAND CIRCUS&CIRCUS2019 ノスタルジーという麻薬
- 2019年08月13日12:49
#246仙台／#247東京／#248川崎 仙台で、学生時代からライヴに行っていた男と、甲斐を観た。最前列正面。そして、青森から来た、甲斐のカバーバンドをやっている若い友人と初めて会った。彼が、アポロの炎の音源が聴きたいがそれ以外はすべて所有するNEWYORK B
- 小川洋子、クラフト・エヴィング商會「注文の多い注文書」
- 2019年08月10日14:25
人体欠視症治療薬（川端康成「たんぽぽ」）バナナフィッシュの耳石（サリンジャー「バナナフィッシュにうってつけの日」）貧乏な叔母さんの行方（村上春樹「貧乏な叔母さん」）肺に咲く水連（ボリスヴィアン「うたかたの日々）」小説「冥途」（の移譲）（内田
- 金原ひとみ「持たざる者」
- 2019年08月03日17:43
修一「すべてが意味のないものに見える」千鶴「明日死ぬかも知れない世界に生きていることが、胸がつぶれるほど辛い」「すべての欲望から解放された、いや見放された私は、ほとほと自由だ。悲しいほど何者にも縛られない。縛りつけてもらえない」エリナ「人が
- 「人生を変えてくれたペンギン」トム・ミッチェル
- 2019年08月03日17:04
旅先で重油にまみれたペンギンを救い、一緒に暮らし始め、留守中に友人に預けているときに急病で死んでしまう。何年も後にその「ファン・サルバドール」の映像をみつけたトムは、出会った場所に出かけ、近くの動物園のペンギンが、まるで「ファン・サルバドー
- 小川洋子「不時着する流星たち」
- 2019年08月03日16:52
この60�屬涼罎念貔犬鮟�えたミュウを見送ってから、いつも思う。「ひそやかなものこそが美しい」と。小川洋子のこの物語は、あまりにひそやか過ぎるものが並び滑稽ですらあるが、そのひそやかさに向ける視線がまっすぐすぎて、胸を打つ。最後の一編「十三人き
- 川上泰徳「シャティーラの記憶」
- 2019年08月03日16:21
川上を知ったのは昨年暮れの安田純平帰還の創シンポジウムだった。「中東の報道が少ないのは、知ろうとしないからだ」と言い切った。その通りだ。与えられる報道や情報なんてろくなもんじゃない。知りたかったら調べろと。この著作は、パレスチナ難民キャンプ
- 「新聞記者」河村光庸プロデュース 7/14ユーロスペース
- 2019年08月03日16:05
森達也が来るから満員なのかと思ったら他の回も満員だった。つまり、多くの日本人はこの社会の酸素不足を実感しているのだと思う。加計学園は生物兵器を作るんじゃないかという疑問が報道されたことがあった。あれはその後どうなったんだろう？内閣調査室って
- 「主戦場」ミキ・デザキ 7/10 イメージフォーラム
- 2019年08月03日15:46
従軍慰安婦問題を巡る歴史修正主義者の主張、というか戯言をインタビューし、その硬直ぶり、反知性ぶりを公開する。むろん、彼らの言うことはわかり切っている。知識を得ようとしないのだから、一貫性はある。「他の人の意見や論文は僕は見ない」「日本人は小
- 「心はどこにあるのか」ダニエル・Ｃ・デネット
- 2019年06月24日18:30
「本書の最大の目的は、質問しようと思っている問題を紹介することである」から始まる。自然科学的に、社会科学的に、心のありかを探る、いや探り方を考察する。決して宗教的にではない。「あなただけがこの世の中の唯一の心であるかもしれない、つまり、この
- 「6時27分発の電車に乗って、僕は本を読む」ジャン＝ポール・ディディエローラン
- 2019年06月24日13:11
裁断工場で働くギレンは、裁断され残った本のページを持ち帰り、毎朝通勤電車で朗読する。彼の同僚ジュゼッペは、機械事故で両足を失ったときに自分の両足が再利用パルプに溶け込んでしまったと思われる日付の本を突き止め、古本屋から買う（つまり自分の足を
- 「仕事なんか生きがいにするな」泉谷閑示
- 2019年06月15日17:37
ここでもフランクルが引用される。「生きる意味」は決してどこかで見つけてもらうことをじっと待っているような固定した性質のものではなく、意味を求めるという自身の内面の働きそのものによって、初めて生み出されるのだ。「意味への意志」こそが本質であり
- ヴィクトールＥフランクル「生きがい喪失の悩み」
- 2019年06月15日17:00
アウシュビッツにいても「生きる意味」を感じられるというのはどういうことか。フランクルが死刑囚に言う言葉がある。「その当時でも私は、生きることはどのような条件や事情のもとでも意味があるという確信を一瞬間も放棄しませんでした。なぜなら、それには
- ジュンパヒラリ「その名にちなんで」
- 2019年06月15日15:28
カルカッタのインテリがアメリカに移住し、生きていくとはどういうことか。「かつて知り、かつて愛した人々が、すべていなくなってしまう。記憶があるから生きていられる。なぐさめられる。まだ生きている身内にしたところで、もう死んだも同然というべきで、
- 川上弘美「水声」
- 2019年06月14日14:50
水声（すいせい）とは何なのか。「こんなにも意味を考えてしまう背後には、考えまいとしてきた長い時間が横たわっている。考えまい、考えまい。ずっと、念じてきた。その枷が、体をかさねるというこの行為だけで消し飛んでしまう」意味を考えるのをやめること
- 川上弘美「どこから行っても遠い町」
- 2019年06月14日13:31
どこから行っても遠い、のは自分以外の誰かとこの世界のことだろうか。妻の浮気相手と「憎み合うのではなく、いろいろなことを見てしまった顔で」魚屋を続けている男。会社でいちばんいやなことは「世界に対して疑いを持たないでどんどん行っちゃうような人た
- 川上弘美「なめらかで熱くて甘苦しくて」
- 2019年06月14日12:57
川上弘美を読むと、理屈で読書していることが、何か重要な味わいを感じることを損ねているのかなと思う。むろん、だからと言ってそれをやめることは出来ない。辞めようと考えてしまうそのこと自体が理屈だからだ。「好きで好きで好きで仕方のないものが何かの
- ＃245 甲斐よしひろＢＢＬ＃5（20190519 1st)
- 2019年05月20日21:38
夜の寒さが 身体貫くとき 初めて 君の名を 呼んだ君に適うものなど ない 今は一人 自由だとしても君に適うものなど ない 適うものなど「四月の雪」から始まり、零れおちる 微笑みは いつか流れ落ちた 涙の証しうねる囁きの先で 叫びが 波うって
- アリステアマクラウド「彼方なる歌に耳を澄ませよ」
- 2019年05月05日21:38
誰だか忘れたが好きな作家が絶賛していたので、読んでみた。スコットランドからカナダへ移民した一族の絆の話だが、イングランドとの確執とか愛憎とか、わかってないと（事実としての歴史ではなく、スコットランド人の心性が）読み切れないな。つまり僕には読
