イラク・アフガン戦争に従軍したジャーナリストが、帰還後に病んだ元兵士を追うドキュメント。戦場で起こるであろうことが起こり、人間性が破壊されるだろう予想通りに破壊される。しかし、結局、彼らのそばにいないとわからないのだ。いや、近くにいてすら、
超然者たらんとする「余」は、袂君と見栄の張り合いの果てに、沖縄に入ったりバンドをやったり、する。が、そもそも「たらん」とすること自体が超然者じゃなかった、と思い至る。なんて解釈は、どうでもいいだろう。世の常識をつきつめていくときにしばしば起
絶望的な状況を脱出した主人公の足を引っ張るのは父親であり、それを止めようとした母は無理心中を遂げる。愛した女は「ここから出ようなんて思わなければよかった」と言い残して、目の前で凍る海に身を沈める。それを悲しめない、凍りついたこころ。人間は本
人間に寄生し、周囲の人間からその概念を盗む宇宙人。たとえば「家族」という概念を盗まれた人間は、自分と他の者という区別しかしなくなる。「時間」という概念を奪われた人間は、もはや廃人だろう。人間の共通概念とは、そういうものだ。言葉が奪われれば、