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日記一覧

11の短編すべてで、誰かが死ぬ前の物語の誰かが後の物語に現れるこれはこの世界の普遍的な真実だ最後の物語「毒草」で、すべてを失った女が遭遇する冷蔵庫に閉じ込められて窒息死した少年は、自分だったその少年は冒頭の「「洋菓子屋の午後」に登場する不幸な

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人を形成するのは「記憶」である。 記憶は損なわれない。記憶は人を温めてくれる。 人は記憶によって生き、記憶を抱えて死んでゆく。 「無理に言葉を探す必要などなく、しんとしているはずなのに、鼓膜の底を空気がせせらぎのように流れてゆく、居心地のいい

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突然降りかかる不幸、ひっくりかえる日常。この現実は、とんでもなく薄い薄氷の上に浮かんでいる。これは何の意味があるか、何のメタファか、と考えながら物語を読むことがひどく常識に縛られていることに気づく。

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小川洋子「完璧な病室」
2018年02月24日20:39

今まであまりピンと来ない小説家だったので、買ったが読まないものがあり、その中の一冊。人間にとって一部でしかない「社会生活」が、人生のすべてあるいは前提になってしまっているかのような、現代社会。収入が人生を左右する、なければ生きて行けない、失

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中村文則「惑いの森」
2018年02月24日20:11

時の人だということは怖ろしい。こんなメモみたいなものが出版出来る。・・・だったりする、という言い回しは、わざとなんだろうか?むろん、誰にでも書けるメモではないし、ましてや僕には書けないけどね。

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批判が自由なことがアメリカの懐の深さだ、みたいなアメリカ賛歌がいかにお花畑かがわかる。それは第2次大戦後に「民主主義」の名のもとに、アメリカが犯してきた罪を軽減などしない。人・モノ・カネすべてにおける圧倒的な軍事体制。基地があろうがなかろう

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プードルは怖い。あの大きさでのしかからられたら脱臼しそうだし、スピンク自身が「喉笛に噛みついたらポチ(飼い主たる町田)を殺せる、と書いている。「いつまでも、このままでいたいなあ、と私は思います。思っています。」人は進歩がなけりゃだめだとか、

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小川洋子「余白の愛」
2018年02月21日12:39

「君は自分の記憶と離れることなんて出来ない」突発性難聴を病んだ女と患者の座談会を記録する美しい指の男。人はみんな自分だけの記憶の中で生きていく。誰もいない余白を埋めるようにして、生きていくしかないのだ。

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町田康「生の肯定」
2018年02月08日22:48

余は自然であった。自己肯定しまくる、普通の、ありふれた私であった。うぬぬ・・理解出来ない。まあいい、それも肯定しよう。これ、年末に読み始めたんだが・・。最近、気力がなくて、本が読めない。

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「猫の吸い方」坂本美雨
2018年02月07日18:02

ウチの三毛猫と同じ名前である。美雨。ミュウ。美しい雨。僕は未だに吸ったり出来ないし、のどを撫でようとするとかまれたりする。体調がどうかなんて、調子の悪さを隠す野生動物の本能からして、よくわからない。きっと外で自由になったらミュウは生きて行け

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解説より引用【小川洋子という人は実に奇妙な作家である。飛び立つ鳩の群れの奇跡(飛びたつ鳩の群れの鳩同志がぶつからない奇跡を書くことが小説だという、ジョンマクレガーの「奇跡も語る物がいなければ」)や、人の体がきっちりと血液を循環させて心臓が拍

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猫のあの「ゴロゴロ」は人間が認識できる最も低い周波数だから、人間は気持ちいい、あれ以下は聴こえない、らしい。猫だけが、人間に話しかけようとしている、らしい。猫同志は話さない。ならば、人間が猫語をわかってやれないのは、猫にとって不幸なんだろう

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自分がいないと(おそらく)生きて行けない存在こそが、自分を生かしてくれる。最近仕事がパタッとなくなって(その程度のことで)自分の存在理由が見いだせない、独りで、身一つで立っていられない、とひたすらネガティブになる日々。ここにいる、言葉を持た

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