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日記一覧

「本書の最大の目的は、質問しようと思っている問題を紹介することである」から始まる。自然科学的に、社会科学的に、心のありかを探る、いや探り方を考察する。決して宗教的にではない。「あなただけがこの世の中の唯一の心であるかもしれない、つまり、この

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裁断工場で働くギレンは、裁断され残った本のページを持ち帰り、毎朝通勤電車で朗読する。彼の同僚ジュゼッペは、機械事故で両足を失ったときに自分の両足が再利用パルプに溶け込んでしまったと思われる日付の本を突き止め、古本屋から買う(つまり自分の足を

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ここでもフランクルが引用される。「生きる意味」は決してどこかで見つけてもらうことをじっと待っているような固定した性質のものではなく、意味を求めるという自身の内面の働きそのものによって、初めて生み出されるのだ。「意味への意志」こそが本質であり

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アウシュビッツにいても「生きる意味」を感じられるというのはどういうことか。フランクルが死刑囚に言う言葉がある。「その当時でも私は、生きることはどのような条件や事情のもとでも意味があるという確信を一瞬間も放棄しませんでした。なぜなら、それには

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カルカッタのインテリがアメリカに移住し、生きていくとはどういうことか。「かつて知り、かつて愛した人々が、すべていなくなってしまう。記憶があるから生きていられる。なぐさめられる。まだ生きている身内にしたところで、もう死んだも同然というべきで、

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川上弘美「水声」
2019年06月14日14:50

水声(すいせい)とは何なのか。「こんなにも意味を考えてしまう背後には、考えまいとしてきた長い時間が横たわっている。考えまい、考えまい。ずっと、念じてきた。その枷が、体をかさねるというこの行為だけで消し飛んでしまう」意味を考えるのをやめること

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どこから行っても遠い、のは自分以外の誰かとこの世界のことだろうか。妻の浮気相手と「憎み合うのではなく、いろいろなことを見てしまった顔で」魚屋を続けている男。会社でいちばんいやなことは「世界に対して疑いを持たないでどんどん行っちゃうような人た

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川上弘美を読むと、理屈で読書していることが、何か重要な味わいを感じることを損ねているのかなと思う。むろん、だからと言ってそれをやめることは出来ない。辞めようと考えてしまうそのこと自体が理屈だからだ。「好きで好きで好きで仕方のないものが何かの

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