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日記一覧

気儘徒然句鑑賞六十八
2020年01月29日16:53

帽子屋はギリシャ上空まで飛んだ(筒井祥文) 筒井祥文川柳句集「座る祥文・立つ祥文」より。どことなく、  旅客機閉す秋風のアラブ服が最後(飯島晴子)を彷彿とさせるものを感じるが、多分評者の気の迷いだろう。まして、「不思議の国のアリス」の帽子屋

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気儘徒然句鑑賞六十七
2020年01月28日18:05

面積はおかしい×おもしろい(筒井祥文) 筒井祥文川柳句集「座る祥文・立つ祥文」より。 ×を「かける」と読んで、きちんと五七五におさまるところ、「お…し…い」の韻。そして数学公式の茶化しと、手が込んでいる。手が込んでいるにもかかわらず、即席で

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気儘徒然句鑑賞余録
2020年01月26日11:26

 筒井祥文句集の鑑賞前半を月刊メランジュに送った。その際に、前文を付けた。以下にそれを記す。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 現在、とあるSNSにて「気儘徒然句鑑賞」と題する短詩形定型詩の鑑賞文を

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気儘徒然句鑑賞六十六
2020年01月25日08:19

沖に舟あれどラッキョに義理はない(筒井祥文) 筒井祥文川柳句集「座る祥文・立つ祥文」より。 舟がなくても、ラッキョに義理は生じないはずだ。辣韮ではなく、ラッキョであるところにも言い切りの爽快さがある。 「沖に舟」は数々の物語に彩られてきた。

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気儘徒然句鑑賞六十五
2020年01月22日07:35

広辞苑よりも分厚い野次が飛ぶ(筒井祥文) 筒井祥文川柳句集「座る祥文・立つ祥文」より。 野次を飛ばされた方は全く登場しない。野次とはそういうものなのだ。そんなに教養のある野次はあるのだろうか。という気もするが、知識の集成としての広辞苑ではな

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偶成歌
2020年01月22日07:23

権力は絶対的に腐敗する五七五なのを知らずに言った

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気儘徒然句鑑賞六十四
2020年01月19日13:19

遺書の例文おもむろに笑い出す(筒井祥文) 筒井祥文川柳句集「座る祥文・立つ祥文」より。途中、  無い袖を入れた金庫がここにあるを挟む。最初、二三句の鑑賞で済ませるつもりでピックアップしたため、すでに鑑賞済み。その時にこちらを取り上げても良か

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気儘徒然句鑑賞六十三
2020年01月18日20:40

何をおっしゃる別腹がございます(筒井祥文) 筒井祥文川柳句集「座る祥文・立つ祥文」より。落語の一節から抜け出たような句。元になった話があるわけでもないだろうが、「まんじゅうこわい」の後日譚にもなりそうだ。 尊敬語とか丁寧語とか、日本語のジャ

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気儘徒然句鑑賞六十二
2020年01月15日18:35

ならひょいと栞がてらの旅にでも(筒井祥文) 筒井祥文川柳句集「座る祥文・立つ祥文」より。 上五の「なら」は、助動詞「だ」の仮定形、と検索結果をそのまま写す。数学の命題では、「A=B」なら「B=C」が成立する、というような形でよく使う。 ともあれ

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気儘徒然句鑑賞六十一
2020年01月14日16:57

あり余る時間が亀を亀にした(筒井祥文) 筒井祥文川柳句集「座る祥文・立つ祥文」より。句集の前半「座る祥文」は、生前発行のセレクション柳人からの抜粋。後半「立つ祥文」は、それ以後の未発表作になる。上挙の句から後半に入る。 以前出てきた自転車の

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気儘徒然句鑑賞六十
2020年01月12日08:05

どうしても椅子が足りないのだ諸君(筒井祥文) 筒井祥文川柳句集「座る祥文・立つ祥文」より。少し前に話題になった、  ヒヤシンスしあわせがどうしても要る(福田若之)とは、同じ「どうしても」でもえらく違うなというのが一読しての印象。短詩形には珍

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気儘徒然句鑑賞五十九
2020年01月11日07:58

人魂が今銀行へ入ったが(筒井祥文) 筒井祥文川柳句集「座る祥文・立つ祥文」より。人はそれぞれ魂を持っているはずなので、銀行に入る人を人魂と呼んでもおかしくない。 にもかかわらず、白昼にふわりと浮かぶ火の玉をどうしても脳裏に浮かべるだろう。嫌

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気儘徒然句鑑賞五十八
2020年01月10日18:27

四時頃のうどんののらりくらりかな(筒井祥文) 筒井祥文川柳句集「座る祥文・立つ祥文」より。この句は、どうしても落語を思い出す。下げの前で、どじな主人公が一文浮かそうと、うどん屋のあるじに時刻を聞く。その答えが「四つ」。それを踏まえているのだ

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偶成六百七十四
2020年01月08日21:14

唇に指当ててふむ寒四郎

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気儘徒然句鑑賞五十七
2020年01月07日15:56

ご公儀へ一万匹の鱏連れて(筒井祥文) 筒井祥文川柳句集「座る祥文・立つ祥文」より。 ご公儀と言うような言葉がすんなり出てくるところが、京都生まれである祥文の出自を表している。さらに一万の鱏を連れて行くところ、ある種のプロテストを

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気儘徒然句鑑賞五十六
2020年01月06日17:29

鳥の声 水は力を抜いている(筒井祥文) 筒井祥文川柳句集「座る祥文・立つ祥文」より。一句後にも水の句がある。  祭から引く水 旅の口笛に さてどちらを選べば良いかと迷うところではあるが、情緒に凭れ加減の祭の句を避けて、鳥の声を選んだ。とは言

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気儘徒然句鑑賞五十五
2020年01月05日15:48

短歌的呪文で滝を歩かせる(筒井祥文) 筒井祥文川柳句集「座る祥文・立つ祥文」より。かつて短歌は奴隷の韻律と呼ばれ、その情緒を「短歌的叙情」として非難された。ということを知った上での「短歌的呪文」ではないかと思う。そうした議論を伴う用語を、素

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気儘徒然句鑑賞五十四
2020年01月03日21:27

カッポレをちょいと地雷をよけながら(筒井祥文) 筒井祥文川柳句集「座る祥文・立つ祥文」より。 カッポレがなぜ片仮名なのか?漢字で書くと、活惚れになるそうだ。多分、意識的か無意識かは解らないが、平仮名や漢字で書いた時に生じる情緒を排除するため

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気儘徒然句鑑賞五十三
2020年01月02日21:31

自転車で来たので自転車で帰る(筒井祥文) 筒井祥文川柳句集「座る祥文・立つ祥文」より。当たり前すぎる句ではある。この手の手法で有名なのは、  次々に走り過ぎ行く自動車の運転する人みな前を向く(奥村晃作)であろうか。当たり前の景が、いとも奇妙

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偶成歌
2020年01月01日09:13

太箸の洗わぬ倣い阿呆らしく淑気とともに洗い流せり

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