ドラゴンとゴンドラに目が二つずつ(筒井祥文) 筒井祥文川柳句集「座る祥文・立つ祥文」より。 ドラゴン、ゴンドラの言葉遊びに目が行きそうになるが、後半の「目が二つずつ」が句を引き立たせて秀逸の措辞。もっとも、ゴンドラのどこに目をつけたかは不明
吉野家があった気もする交差点(筒井祥文) 筒井祥文川柳句集「座る祥文・立つ祥文」より。 現代文明の担い手としての都会は変貌を義務づけられている。アスファルトで区切られている区画は、しょっちゅう建物の外観が変わる。交差点上の人も進行が義務化し
先週のメランジュ月例会に投稿した詩を以下に記す。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−幾何学直線とは言いながら線は糸偏 だから糸縒りあわされた細糸が糸縒れば糸は曲線螺旋に進む曲線状の螺旋に進むから直線そして今日もAとB
こけしですちょっと訛りがございます(筒井祥文) 筒井祥文川柳句集「座る祥文・立つ祥文」より。時折、見受けられる丁寧語、広い意味での敬語を使用した作品群のひとつ。冗長になりがちの敬語をうまく五七五に入れるには、ちょっとしたこつがあるようだ。
さてゴリラハイビスカスと言いたまえ(筒井祥文) 筒井祥文川柳句集「座る祥文・立つ祥文」より。 少々滑舌の怪しい酔漢が自分自身に向かって命令しているような気もするが、実物のゴリラに向かって命令していると取る図も楽しい。一般に、テキストは字義通
今まで、愚息の個展を八月に開いてきたが、それは主に愚生の都合によった。八月は見に来る人にとっては大儀なことであったと思う。 今回は三月に行う。以下、お知らせ。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 野口毅個展
京都を燃やす努々を夢にせず(筒井祥文) 筒井祥文川柳句集「座る祥文・立つ祥文」より。 「ゆめゆめ疑うことなかれ」の「ゆめゆめ」が、漢字では「努々」と書くと知った。そこから「努々を夢にせず」と句想が浮かんだ。句の裏側が仮にこのような発想だった
それがどうしたとトンビは風に乗る(筒井祥文) 筒井祥文川柳句集「座る祥文・立つ祥文」より。 祥文句がときどき見せる見事な句跨がり。 そうと決まってヒコーキを遺書で折る ころんと転がる一瓶の夜景 ラ・クンパルシータで蜘蛛が登場 いつも
饅頭も飴も初めは甘かった(筒井祥文) 筒井祥文川柳句集「座る祥文・立つ祥文」より。 初めを括弧で括ると意味深。ジョニー・ミッチェル「Both Sides, Now」(日本題「青春の光と影」)の世界が立ち現れる。 「…も…も…は」と、テーマをこれでもかこれ
土壇場で左うちわを取り落とす(筒井祥文) 筒井祥文川柳句集「座る祥文・立つ祥文」より。 筒井祥文は、誰もが分かる句を毛嫌いするというスタンスを取らない。たった一人しか分からない句を取り出すこともやるが、その逆もやる。穿って言えば、誰もが分か
むべなるかモミジもカネも風に散る(筒井祥文) 筒井祥文川柳句集「座る祥文・立つ祥文」より。一読、百人一首の「むべ山風を…」を彷彿とさせる。それが狙いというより、思わず口を突いて出たという気分で、「モミジもカネも風に散る」と続く。カタカナのモ
大きなことを小さな文字で書く人だ(筒井祥文) 筒井祥文川柳句集「座る祥文・立つ祥文」より。 確かにこんな人はいそうだ。句は揶揄ではなく、少々あきれているぐらいの調子で書かれている。対象の人を優しく包みこむ話者の包容力を見せている。