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2022年12月09日08:55

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和木浩子『八岐の大蛇』

 和木浩子『草薙列伝 八岐の大蛇』(教育画劇、1997年)を読了。日本神話を神々ではなく、人間たちの物語として再構成した小説。弥生時代の出雲が舞台で、肥の川の流域に三つの族が住んでおり、クサナギ族の族長ナギヒコが主役を務める。
 ナギヒコは八岐大蛇をモデルとする人物だが、原典と違って悪人とは言い切れない。僅か十六歳にして族長を継いだ彼は理想に燃え、改革を進めようとする。しかし、そのやり方は強引で、他の族ばかりかクサナギ族の間にも軋轢を生む。
 本書にはスサノオやクシナダや出雲神話の神々も人間として登場し、神武天皇の存在にも触れられている。日本神話を人間の物語にした作品で大抵の場合、八岐大蛇は悪の族長として描かれる。だが、本作は彼にも言い分があるとし、なおかつ判官贔屓で単なる被害者ともしない采配の妙には唸らされた。
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