■人生と文学と政治 (5)
― ジャズに夢中だったころ ―
●きょうは雨。ベランダから見える裏のアジサイが
雨に打たれながら、静かに咲いている。
ビル・エヴァンスをかけたが、どうもしっくりこない。
ダイアナ・クラールのザ・ルック・オブ・ラブにする。
●ダイアナ・クラール、ステイシー・ケント、ノラ・ジョーンズ。
インターネットの
MP3.COMがまだ、著名アーティストを
含め、フリー ミュージックを流していた頃、私は片っ端から
聞いて、お気に入りの曲を自分のホームページから聞けるような
直接リンクを貼り、「
日替わり」で毎日5、6曲流していた。
多くは無名の、あるいは、日本ではCDも販売されていない
アーティストだった。
3000曲くらいは聴いただろう。どんなアーティストか
私はまったく知らず、ただ自分が気に入ったアーティストと
その曲を収集し、直リンクに貼り付け、毎日毎日その作業に
熱中した。
インターネットで「音楽」が無料で聞ける、そのことが私を熱中させた。
アーティストが
アルファベット検索できるようにし、選曲は
そのアーティストの、最上のものから順に、多くて10曲くらいを
目安に採用した。
芥川賞作家「保坂和志」と知らずに、彼の書くものに違和感を
感じたことを書いたと同じように、どんなアーティストか知らず
ただ自分の耳で選んだ「曲」を流した。
その中で、うえの3人は私の好きな、女性ボーカリストだった。
もともと、長男が暇なときにジャズを聴くというので、私も
聴き始めたのだが、彼女たちの歌声は、私に安らぎを与えてくれた。
そして、ある日、西神中央の喫茶店で、聞き覚えのある曲が流れた。
ダイアナ・クラールだった。そのことを帰省してきた長男に言ったら、
「そう言えば、そんなCDが出ていたナー」ということで、
ほかの二人も日本でCDが売られるようになった。また、
なんでも、アメリカの音楽賞も受賞したらしい。
●妻がまだ帰ってこない。帰ってくるまで、ミクシイの日記を
書くことにし、いま、ダイアナ・クラールを聴いている。
雨の日に、これは合う。
●「人生と文学と政治」の続きであるが、これは、私が読んできた
「本」の話でもある。
「人生」と「文学」と「政治」が、バラバラにあるのではなく、
それらは「生きること」に流れ込む。
そして、「本」は「生きること」のために読んできた。
「読書の快楽(けらく)」というような、ただ、面白い、
「無償の読書」みたいな「本」も、私の読書経験にないことも
ないが、私の読書の多くは、頭をぶつけて読む「薬」のような
「本」が多かった。
●だから、私は「読書人」でも「読書家」でもない。
ただ、俗っぽいところがあり、スノッブで、ペダンティックな私は
背伸びをして、「本」を読むことがある。
大学時代は、ご多分に漏れず「教養主義」に冒されて「本」を
読んだ。
しかし、まぁ、「本」を読んでいけば、そこには一定の傾向が
生まれる。
或る程度、系統的に「本」を読み出したとき、私には何本かの
読書系統が形づくられるようになった。
ひとつは、「教養主義」から読んだ「本」、たとえば、この
ジャンルなら「この100冊」とかいう「本」を読んだ。
世界の小説、日本の小説。「新書」や「文庫」。「世界の名著」
なんて「本」もちょうど刊行がはじまった。
もうひとつは、雑誌の「思想の科学」「展望」「朝日ジャーナル」
系統の「本」たちだ。これらの雑誌に寄稿する人たちの「本」を
読んだ。そして、その人たちの読んだ「本」を私も読んだ。
そして、系統的に読んだのは、働き始めてから、労働組合や
労働法や部落解放運動や教育運動の「本」を読んだ。
そのほか、「映画」や「マンガ」や「絵画」の「本」も読んだ。
講談社のブルーバックスの「本」、「化学」「物理」「地学・天文」
「生物」系の「本」もずいぶん読んだ。
また、「広告」や「マーケティング」、「食品科学」「品質管理・統計学」
「食品衛生」「リスク・マネジメント」「微生物・理化学検査」や
それから「表示」に関する「国内法・国際法・コーデックス」などの
「本」を読んだ。
あとの方は、「仕事」にも関係した。
●暇があれば、ボーっとしている方が好きだが、「本」は
やはり読んだ方がいいと思う考えから逃れられず、関心のある
「本」は、読みきらないのに、次から次に買った。
ひどいとき、私が「躁(そう)」だったときなんか、1日に
30万円の「本」を買った。
「本」を読まないのに、「本」を買った。
しかし、どんな「本」でもいいのではなかった。
それらは、お金を払っても「読みたい本」だった。
もちろん、「読んでない本」の集積場になることは明白にも
かかわらず・・、である。
●ダイアナ・クラール、ステイシー・ケント、ノラ・ジョーンズ。
三人を聴いて、いま、ビリー・ホリデー「奇妙な果実」をかけて
いる。
雨の日には、女性ボーカルがよく似合う。
しっとり歌ってくれる声がいい。
もうすぐ、妻が帰ってくるだろう。
■案内
・
日記/「Home」案内
■参照
・
人生と文学と政治(1)
・
人生と文学と政治(2)
・
人生と文学と政治(3)
・
人生と文学と政治(4)
・
人生と文学と政治(5)
・
人生と文学と政治(6)
・
人生と文学と政治(7)
・
人生と文学と政治(8)
・
人生と文学と政治(9)
・
人生と文学と政治(10)
・
人生と文学と政治(11)
■参考
・
「人生と文学と政治」資料
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