”在日朝鮮人帰還事業。1959年に始まったそれは、人類史上最悪の「大量殺戮」への序章だった。大阪に暮らす二人の若者が経験する「地獄」を通して、日本人の差別感情と、政府・マスコミらが犯した大罪に迫る”(amazonより)
中央公論文芸賞受賞。
第一部。
1950年代後半、大阪に住む在日朝鮮人の高校生仁学は、成績優秀だが家は貧しく、周囲からは差別を受け、大学進学の希望も頓挫しかけていた。そんな時、朝鮮総連の帰国運動を知り、その素晴らしさに心躍らせ、家族や友人知人に勧めまくる。
59年に政府の鳴り物入りで帰国運動は始まり、仁学の家族や友人も帰国するが、彼らからの手紙が、どうにも変。
幸せに暮らしてると言いながら、石鹸やタオルなどの生活物資多々、そして何卒お金を送ってくれと。
ある老人が帰国する家族に、もし本当のことを言えなかったら切手の裏に書けと指示すると、「ここはじごく絶対にくるな」と書いてあったと。
北の実態が判明するにつれ、仁学は周囲から責められ罵倒され、自分自身を責めて後悔するだけの一生を送ることになる。
第二部。
仁学の友人、勇太が北で見た地獄絵図。貧しく食べ物もなく、日本人として差別され、役人の機嫌を少しでも損なうと撃ち殺され、挙句は強制収容所に連行される。
そこでは重労働が課せられ、ネズミ、ミミズ、ヘビが最大の御馳走であった。
勇太の家族や友人知人は次々と栄養失調や病気で亡くなり、或いは問答無用で殺される。
第三部。
命からがら脱北した勇太は韓国の裏社会で事業を成功させて40年後に来日、隠れるようにしてボロボロの人生を送った仁学と共に、この事実を後世に伝えようとする。
500頁弱の本ですが、面白くて一気に読みました。
北朝鮮については、「北朝鮮脱出」「北朝鮮いまだ存在する強制収容所」などの本を何冊も読み、映画も何本も観て来ましたが、その度に言葉を失くしました。
脱北者の手記で驚いたのは、ヘビやネズミが御馳走であることは勿論、自分の排泄物の中から食べられるモノを探したと。
そして80年前のアウシュビッツではなく、今現在もこんな世界が実在しているということに驚愕します。
この本で驚いたのは、日本の政治家やマスコミが朝鮮総連と一緒になって、地上の楽園、平等な社会主義社会、教育も職業も機会均等などとうそぶいて帰国運動を促し、そして誰もその責任を取っていないという事。
帰国運動を強力に進めた政治家の一人として、小泉純也の名前が出て来たことにも驚きました。
小泉純一郎元首相の父親です。
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