ジェワン（ソル・ギョング）は弁護士。今回の仕事は、故意に相手をクルマで轢いて死なせた男の弁護。しかし男は金持ちの息子で、親から金はいくらでも積むから罪を軽くしてくれと依頼され、「相手が威嚇してきたので恐怖に駆られて、ついクルマを発進させた傷害致死」として、ジェワンは処理しようとしていた。
二番目の若く美しい妻・ジス（クローディア・キム）と、先妻の娘ヘユン（ホン・イェジ）と豪華な広いマンション暮らし。
そんなジェワンを、弟のジェギュ（チャン・ドンゴン）は、「カネが優先で道徳心がない」と、冷ややかに見ている。
ジェギュは小児科医で、患者のために尽くす医者だったが、なんと、ジェワンが担当した事件で、重体になった女の子が運ばれてくる。
女の子の母親（チェ・リ）は、轢いた男の親たちが、カネで和解させようとしているため、怒りが収まらない。
そんな対照的な兄弟だが、月に一度は高級レストランでの食事会をおこなっていた。
ジェジュの妻（キム・ヒエ）は、若いジスの姿に、自分も美しく見えるよう、躍起になる。
ところがある日、この２家族に事件が持ち上がる。
路地でホームレスの男性が殴打されて病院に搬送、意識不明となったのだ。
その日、ジェワンの娘ヘユンと、ジェギュの息子・シホ（キム・ジョンチョル）は夜外出。塾に行ってたとばかり思っていたが、ニュース報道で公開された防犯カメラ映像で見ると、暴行している若い男女は、服装や年恰好から、まさにヘユンとシホではないか。
じぶんの子どもが犯罪に手を染めたことで、ジェワンもジェギュもその妻たちも混乱。
しかし、被害者のホームレスは死亡が伝えられた。
「傷害罪」から「殺人罪」へー。
でも被害者が証言することはない。
ジェギュは、息子のシホが泣きながら反省の言葉を語る姿を見て、このまま黙っていよう、と決める。
しかし、ジェワンは、娘のヘユンが、暴行した相手のことより、自分が大学に合格したことに歓喜する姿を見て、心がざわついてゆく。
そして、いとこふたりが「韓国人の平均寿命は８４歳。でもホームレスは４６歳なんだって。あの男は寿命どおりだったんだよ」と高笑いするのを聞いてしまい、ジェワンは「自首させる！」とジェギュに強く言う。
なぜわざわざそんなことを・・とジェギュは兄に反発するのだった。
この映画、正直、見終ったあと、後味がすごく悪かった(；ﾟДﾟ)
裕福な暮らしをしていても、完全に子育てに失敗しているふたつの家族。
そして、ラストシーンでの、ジェギュのジェワンへの仕打ちがひどすぎ。
現代韓国社会の、貧富の差、モラルの喪失を描いているのかもしれないけど、ソル・ギョングは終始、眼鏡の奥で無表情。
もっといい役を演じてほしいよね〜と思ってしまう。
この映画を見ながら思い出したのが、サム・ライミ監督の「シンプル・プラン」（１９９８年）。兄弟が犯罪がらみの大金を見つけ、兄は横領を提案、弟は当初反対するものの、兄やその悪友のやることに巻き込まれ、さらなる犯罪に手を染める。
結局良心的に見えた弟も人を殺してしまい、強欲だった兄が、激しく後悔する・・というストーリーだった。
（１月２０日、キノシネマ天神）
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