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2024年08月16日10:18

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映画「めくらやなぎと眠る女」

村上春樹の短編小説をもとにしたアニメ映画である。
監督のピエール・フォルデスは、アメリカ生まれ、パリ育ち。ニューヨークでアーティスト活動を始めヨーロッパに渡り、短編映画などを制作。
今回見たのは、日本語吹き替え版。


2011年3月、東日本大震災が起こったあとの不穏な東京の街。
小村(声・磯村勇斗)の妻・キョウコ(声・玄理)は、一睡もせず、震災関連のニュースを見続けている。
キョウコはかつて、小村の友人の恋人だったのだが、友人が事故死し、ふたりは付き合うようになって結婚。

キョウコは突然、小村のもとから失踪。
「あなたとの暮らしは空気のようだった」という書置きを残して。
小村は理由がわからず困惑する。勤務先の銀行では上司からやんわりとリストラを告げられた。
同僚の佐々木(声・岩瀬亮)とバーで飲んでいると、佐々木は「小さな箱を持って、飛行機に乗り、北海道の釧路まで運んでほしい。航空チケットと宿泊代はオレが持つから」と、奇妙な依頼をされる。

同じ銀行の融資課に勤める片桐(声・塚本晋也)は、冴えない中年男。焦げ付いた融資の回収に苦労している。
ある夜、帰宅すると、部屋になぜか巨大な「かえる」がいて、片桐は驚愕するのだが、その「かえるくん」は、「わたしといっしょに東京を救ってください」と片桐に懇願。
なんでも片桐の銀行の地下に巨大ミミズがいて、東日本大震災以上の巨大地震を起こそうとしている、それを阻止するために、ふたりで闘うのだと。

突然消える「かえるくん」。彼は片桐の悩みを解決してくれると言っていた。
そして、本当に、懸案の貸付金が、突然全額返済される。
そのことで片桐は昇進するのだが、ミミズとの対決の夜、彼は気を失って路上に倒れていた。しかし「かえるくん」が言うには、その間、すでに死闘が終わり、ミミズに勝って、片桐とかえるくんは東京を救ったのだ、と。

小村のもとからいなくなったのは、キョウコだけではなかった、猫の「ワタナベノボル」もいつのまにか消えていた。

一方、小村のもとを去ったキョウコ。
彼女はケン(声・平田満)に、20歳の誕生日のことを話す。
バイト先のレストランのオーナー(声・柄本明)から、「ひとつだけ、望みをかなえてあげる」と、言われた思い出話を。

小村を釧路空港で待っていたのは、佐々木の妹と、その友人シマオ(声・木竜麻生)。
いきがかり上、小村はシマオとその夜関係を持つが、シマオは小村が運んだ小さな箱の中には小村自身が入っており、それを佐々木の妹に渡したので、小村はからっぽになっちゃったのでは?と言い出す。

東京に戻り、会社を辞めた小村は時間を持て余す。
猫のワタナベノボルをさがして藪をくぐり、家の裏に出たところで、16歳の生意気な女の子(声・川島鈴遥)と出くわす。彼女は「その猫見たことがあるかも。ここで待ってれば通るよ」と言い、芝生の庭のチェアで、猫を待ちながら小村はまどろむ。

キョウコは新しい住まいに引っ越す。
荷物を整理しながら、古い行李を開けると、なんとそこにいたのは、猫のワタナベノボルだった!


このアニメは、村上春樹の短編「かえるくん、東京を救う」「バースデイ・ガール」「かいつぶり」「ねじまき鳥と火曜日の女たち」「UFOが釧路に降りる」「めくらやなぎと、眠る女」をもとにして再構成。
わたしはどれも読んだ事があるけれど、別々の短編小説を、うまいことひとつの長編アニメにまとめたもんだなあ、とそこは編集のうまさに感心してしまう。

ただ、個人的にはアニメの人物のビジュアルが、まるで蛭子能収タッチなので、男性はかっこよくないし、女性は全然かわいらしくない(;´∀`)。
日本のアニメーションを見慣れていると、あれを受け付けない人は多いんじゃないかと思う。

6つの短編を合体したので、不可解なナゾが6倍になった感じである(;´∀`)。
かえるくんはなぜ片桐のところにあらわれたのか、ほんとうにミミズに勝ったのか?
キョウコはどうしてそんなに夫が嫌になったのか?
レストランオーナーがかなえてくれた望みって?
佐々木が預けた箱の中身って何なのだ?
どうして猫はキョウコの荷物の中に入ったのか?

まあ、もともと、村上春樹の短編って、不条理小説みたいなところがあるので、わけわからないまま、物語が閉じられる。
逆にあのなんとも奇妙な小説の味わいが、アニメでよく表現されていたと感じました。
レストランオーナーの声、あれ、つい最近この声聞いたよね? と思ったら「聖まごころ病院」の院長の声でしたね。
(8月15日、KBCシネマ)
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