1970年代の韓国の漁村・クンチョン。
海女たちは海に潜って海産物を採っていたが、近くに化学工場が出来、その廃水で、獲物は全滅。商売あがったりだ。
当時、税関での課税逃れのため、積み荷の一部をあえて港から離れた海底に投棄し、あとでこっそり回収したりする海運業者たちがいた。
その引き上げ作業の仕事の話が、海女たちに回ってくる。けっこうな報酬額だ。
海中作業はお手の物の海女さんたち。
ところがある日、作業中に税関の手入れが入り、海女のリーダー・ジンスク(ヨム・ジョンア)らは逮捕されてしまう。からくも船から一人逃げ出したのがチュンジャ(キム・ヘス)。
ジンスクは刑務所暮らしを余儀なくされ、ようやく出所。
そんな漁村にチュンジャがふらりと舞い戻った。
彼女はソウルで店を経営し、ベトナム戦争帰りの密輸王・クォン(チョ・インソン)と知り合う。
そして新たな密輸の話をクォンから持ち掛けられ、ジンスクに会うのだが、ジンスクはあのとき、「チュンジャが税関に密告して、じぶんだけ逃げおおせた」という疑いをぬぐい切れない。
チュンジャは「家政婦をしていた14歳の頃、家の主人にレイプされそうになり、刺して逃げた。密輸で逮捕されたら、それも露見して重罪になるからあのときも必死で逃げたのだ」と言い訳するが、ジンスクは信用できない。
「ソウルにいる間、逃げた言い訳を考えてたわけね」と言い返す。
クンチョンではチンピラのドリ(パク・ジョンミン)が、裏の仕事を仕切っていた。
そこへ「ベトコンを何人も殺した」伝説のクォンが乗り込んできて、波乱含み。
さらに税関係長(キム・ジョンス)は、厳しい取り締まりをする、と見せて、密輸業者からの賄賂で利権をむさぼっていた。
ふたたびジンスクたちが手を染めた密輸品の引き上げ。
しかしその海域は人喰いサメが回遊する、危険な海域だった。
海女さん、港のチンピラ、密輸王、悪の税関係長と一筋縄ではいかない連中を巻き込んで、「ダイヤと金塊」の密輸品をめぐるバトルが始まる。
韓国映画はバイオレンスアクションが多いけど、これはまた意表を突く、海洋アクション、しかも海女さんが大活躍(;´∀`)。
そういえば名作朝ドラ「あまちゃん」でも、海女のみすずさん(美保純)がアキ(能年玲奈)に「韓国に海女をしに行ってたのよ」と話すシーンがあったなあ。
1970年代が舞台なので、陸に上がったときの海女さんたちのファッションが超レトロで(まっ赤なパンタロン姿とか・・)、かえってそれが新鮮に見える。
劇中、おそらくは当時韓国で流行してたであろう歌謡曲が何曲も流れるのだが、全然知らないのに、なんだかなつかしいメロディーラインで、昭和歌謡の旋律とほんとうに同じ。こういうところは日本人の感覚とおんなじなんだなーと思う。
密輸品の中に「SANYO」のテレビがあったりして、日本人としては何とも言えない気持ちになる。家電メーカーSANYOはもうない。そして半世紀前は日本製テレビって、密輸するほど韓国では貴重品だったのだ。
キム・ヘスはしたたかにサバイバルする女を演じて、貫禄たっぷり。
キム・ジョンス、主役ではないけど韓国映画でよく見かけるよなー、と思ったら、彼の出演作は14本見ていました。
(7月18日、イオンシネマ大野城)
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