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2024年04月15日11:17

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林浩平著「全身詩人 吉増剛造」を読んで

 

照る日曇る日 第2037回

詩を書き、詩を語り、詩を朗読し、詩を舞踏し、詩をドキュメンタリー映像と一体化し、代表作を燃やして、詩を殺しつつ不意によみがえらせ、詩を前人未到の地点まで押し上げて燃え尽きようとたくらむ不世出の詩人の、過ぎ来しゆくかたを占う興味深い1冊です。

全体を「吉増剛造論」、著者との「往復書簡」、「対談・座談会」、「エッセイ」の4部に分けて多角的にこの「全身詩人」の全貌を浮かび上がらせようとする著者の試みは、ほぼ成功しているというてもよいでしょう。

第3部の「対談・座談会」では、著者と吉増、舞踏家の笠井叡の座談が興味深く、

「われわれはきちんと言葉を発しようとすると体の中でモヤモヤうごめくものがある。それが声になると言葉だけど、声にならないままだとダンスになる」
という笠井の言葉、そして

「声の出る場所と動きの出る場所は全く同根なんですね。吉本隆明もいっているけど問題は咽喉。咽喉から「声」と称する手が出てくる。「詩経」の「跼天蹐地」のような声を作りたいなあ。」

という吉増の発言などが心に残ります。。

この不世出の詩人が、古今東西の哲学者、作家、映画監督、舞踏家、音楽家、文化人、芸術家のみならず、世界中を旅して、その地の精霊、少数民族や無名の民草とさりげなく交感し、そこから汲めどもつきぬ霊感を受け取って、「本人さえも知らなかった新しい詩」を創造してゆくという目くるめくドラマに圧倒されました。

いつ誰に何を言われるかと怯えてる自閉の息子の哀しき定めか 蝶人


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