4Kレストア版で颯爽とスクリーンに戻ってきた「荒野の用心棒」。
さっそく、観てまいりましたぞえ。
灼熱の太陽に乾いた大地。土埃の舞い散る汚れた世界。
アメリカとメキシコの国境にほど近い無法の街で繰り広げられる血と汗の闘争。
その昔、テレビの洋画劇場で何度となく観た「大人のための活劇」が、そして引き締まった体をポンチョに包んだあの男が、スクリーンに帰ってきたのであります。
「荒野の用心棒」、いやー、シビレましたわい。
黒澤明の「用心棒」を無断借用したプロットはかなり雑で色々突っ込みたくはなりますが、敵対する二つの悪の勢力を腕と頭脳で自滅に導くという展開はきちんと踏襲しており、やっぱオモロいなあ、と感心いたします。
ただ、それぞれの悪党グループに造り酒屋と絹問屋というバックが付いていて、元々はそちらの勢力争いから波及した代理戦争であるという、オリジナルにあった設定が抜けているのは惜しかったですね。
とはいうものの、後のマカロニ・ウエスタンで見られる大仰さ、ハッタリみたいなものがこの作品で既に芽生えていて、ちょっと微笑ましくなりましたね。特に最後の決闘シーンにおける「アレ」なんか、とても馬鹿馬鹿しいんですけれどなんだか無邪気で、大の大人がようやるワ、と思っちゃいます。
スクリーンの向こうから流れてくる、映画ファンなら知らぬもののないあの口笛のメロディに、久々に身震いがしましたな。活劇の「気分」を見事なまでに盛り上げてくれるスコアを提供したエンニオ・モリコーネには、もう再敬礼どころか捧げ銃&頭右であります。
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