今年は宮崎駿監督作品「風の谷のナウシカ」公開40周年の記念の年。
3月11日の初日初回、丸の内東映パラスに駆けつけたことを懐かしく思い出しています。
あの時は宮崎駿の活劇魂が随所に吹き込まれた娯楽性を堪能しながらも「そうじゃないんだ!こっちは『コナン』『カリオストロ』みたいな純粋な楽しい活劇を観たいんだ!こう言うものは求めちゃいないんだ!」という不満というか、戸惑いを感じずにはいられませんでした。
その後、キネマ旬報ベストテンの第7位に選ばれるなど、長編アニメとしては破格の評価を得たことを嬉しく思いはしましたが・・・。
で、今日、改めて観てみたのですが、あの長大な原作の冒頭部分しか描いていないとはいえ、実に深大なテーマを内包しつつエンタメ作品としてきっちり成立していることに感銘を覚えましたね。古びるどころか、ますます現実との接点を深めている感があります。
本作におけるトルメキア公国の暴虐ぶりはほとんど今のロシアやイスラエルと同じですし、世界を再び破滅させかねない「巨神兵」に頼り、共存しなければならないという考え方は原発再稼働に向けて突っ走る日本政府に通じるものがあります。
人間と、人間社会への深い洞察に立脚して紡ぎ出されたこの物語、これからも観るもの(そして読むもの)を思考の扉へと招き続けることでしょう。
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