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2024年03月07日15:54

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読書日記N o.1599(恐怖の正体ー知りすぎてはいけない)

■春日武彦「恐怖の正体」2023年9月中公新書

副題は、”トラウマ・恐怖症からホラーまで。

精神科医で作家の春日武彦さんを、マイミクの皆さんはご存知ですか。

精神病理を、他の人が書かない切り口で書いた、例えば以下のような著書があります。

「私はなぜ狂わずにいるのか」「顔面考」「屋根裏に誰かいるんですよ。都市伝説の
病理」「不幸になりたがる人たち」「天才だもの。私たちは異常な存在をどう見てき
たか」「鬱屈精神科医占いにすがる」等々。

最後にしめした「鬱屈精神科医占いにすがる」は、読書日記を書いていました。↓

https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1952600400&owner_id=5540901

さて、本書ですが、その春日先生が、いよいよ「恐怖の正体」について本を出された
ので、怖いもに見たさ、で手にとってみました。

いやぁ、やはり、怖かったです。(笑)

私は、映画でも小説でも、怖いものが苦手で、小学生の時は、別棟にあった夜の
トイレに行けないくらい怖がりでしたが、根本的には成長していないようです。(汗)

怪談作家の京極夏彦さんが、本書の秀逸な帯文を書いているので、まずそれを紹介
します。

”知りすぎてはいけない。右も左も恐いが、前も後ろも怖い。上も下も畏い。
そんな方はご一読を。”

”数多のコワイを集めて、春日先生が暴きます。でも今度は正体がこわい。”

それでは、本書の惹句を紹介しましょう。

”うじゃうじゃと蠢く虫の群れ、密集したブツブツの集合体、鋭い尖端、高所や閉所、
人形、ピエロ、屍体――。なぜ人は「それ」に恐怖を感じるのか。”

”人間心理の根源的な謎に、精神科医・作家として活躍する著者が迫る。恐怖に駆ら
れると、なぜ時間が止まったように感じるのか。グロテスクな描写から目が離せ
なくなる理由とは。自らの死を考えるときの恐ろしさ等々、「得体の知れない何か」
の正体に肉薄する。”

目次と小見出しの抜粋も紹介します。

■第一章 恐怖の生々しさと定義について
・いかに恐怖を定義するか
・警戒心・不安
■第二章 恐怖症の人たち
・甲殻恐怖症
・高所恐怖症/尖端恐怖症/閉所恐怖症/人形恐怖
■第三章 恐怖の真っ最中
・ゴキブリの件
・日常が変貌する恐怖
■第四章 娯楽としての恐怖
・なぜ恐怖は娯楽となりうるのか
・フレンドリーな恐怖
■第五章 グロテスクの宴
・遠くからだとハエのように見えるもの
・不幸に安住する
■第六章 死と恐怖
・死と死体
・僧侶と精神科医

本書は、変わり者の精神科医が、恐怖というテーマにさまざまな角度からアプローチ
を試みた文章で、恐怖というのは、それが恐怖なのか狼狽なのか気味が悪いのか想像
の範囲を超えているという実感なのか、考えつめていくと分からなくなっていくケース
が少なくない、ということでした。

まぁ、ただ、そういう恐怖を感じるのが人間であり、生きている、ということでは
ないかと思わないでもありませんでした。
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