ヤマザキマリ「CARPE DIEM(カルぺ・ディエム)今この瞬間を生きて」 2023年9月エクスナレッジ刊
いつも、当読書日記へのご訪問ありがとうございます。
今回はキリ番で、なんと1600回目の読書日記に相成りました。
Mixiがオープンして20年ですが、私は2006年からmixiで読書日記を書き始めました
ので、足掛け18年になります。
これだけ長期間続けられているのも、ひとえに、ご贔屓にしてくださるマイミクさんが
いらっしゃってこそと、感謝しております。
今後とも、お引き立てのほど、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、今回手に取ったのは、馴染みの著者のひとり、ヤマザキマリさんの死生観に
関する論考でした。
ラテン語のメメント・モリ、という言葉は、半世紀前の若年の頃に知りましたが、その
対句となる、カルぺ・ディエムという言葉は、最近知りました。
Memento Mori (メメント・モリ) 死を思え(忘れるな)
Carpe diem (カルぺ・ディエム) 今を生きよ
古代ローマ人は、潔い死生観をもって生きていたのですね。
本書の惹句を紹介します。
”ヴィオラ母さん、猫、昆虫、そして老いの先人たち……
私の生き方の原点がここにあった――
コロナ禍、母の死を経て見えてきた
ヤマザキマリ流、老いと死との向き合い方。”
”●寿命が何歳であろうと、その時までを思い切り生きていけばいい
・なぜ人は、老いや死に対して大きな拒絶感を抱くのか?
・なぜ人は、若さにばかり価値を置きたがるのか?
・なぜイタリア人は、新車より中古車を好むのか?
・なぜ、「何者か」にならないといけないのか?
・なぜ、イタリアは老人を敬い、日本は老害扱いするのか?
・なぜ、夕焼けは雲があるほど美しいのだろう?
・人に備わる知性、感性、命の機能を十分に使いこなすには?”
”幼少期から老人と触れ合い、
親の介護、そして死を経験し、
多種多様な「老いと死」に触れてきた
真の国際人・ヤマザキマリが
豊かな知見と考察をもとに語った、
明るくて楽しい、前向きな人として生き方。”
目次と小見出しの抜粋も紹介しましょう。
1章 生きて死ぬ摂理
・死ぬこと=不吉な出来事、ではない
・生は常に「死」と隣り合わせ
・地球に生きること
2章 老いの価値
・酸いも甘いも噛み分けて
・燻し銀の輝き
3章 善く生きる
・ソクラテスの「善く生きる」
・挫折と幻滅と失望のトライアングル
4章 私の老い支度
・ありのままの自分を許す
・老い≠罪深いこと
5章 母を見送って
・音の中に蘇る母
・魂はどこに宿るか
ヤマザキマリさんはあとがきで言います。
”本書では私が最近経験をした母の死を軸に、満足のいく老齢のあり方と死との向き合い
方を模索してきました。カブトムシの潔い一生を見ていると、こんな生き方ができたら
と思う気持ちに代わりありません。”
”母の死を通じて気がついたのは、人生を満遍なく謳歌し、あらゆる人としての機能と
感性を使い切った人間の死は、残された人に生きていく糧を残す”利他”にほかならない、
ということです。”
”要するに、その人の人生が終わることで残された人たちが、自分たちの寿命を最後まで
元気に生きていこうという勇気とエネルギーを貰える、それが精神性の生き物である
人間らしい命の終わり方ではないかと思うのです。”
ヤマザキマリさんの潔い言い切りに、今、この瞬間に地球に生きる、生き物としての
覚悟を、ビンビンと感じた次第です。
今という瞬間は、二度と訪れません。その一瞬、一瞬を生き切ることができれば、
安らかな休息に包まれることができるかもしれないですね。
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