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2024年04月11日13:54

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読書日記N o.1607(副題:南方熊楠から米津玄師まで)

■横道誠「創作者の体感世界」2024年2月光文社新書

副題は、”南方熊楠から米津玄師まで”。

読む本を選ぶ場合、普通は著者やタイトルで選びますが、皆さんはどうですか?

たまに本の表紙、所謂ジャケ買いをする場合もありますが、希少です。

本書は、これまであまりなかった選び方をしました。
実は、副題をみて、ぱっと読もうと思ったのです。

明治日本の大博物学者も、令和のヒットメーカーも、私はファンなので。

そして、「から」と、「まで」なら、間にもっといるはずと思って、中を開いたら、
のけぞってしまいました。

だって、好きなクリエーターが文字通り、目白押しだったからです。
なんなんだ、これは!?です。

誰を論じているか。先に、目次をすべて紹介しましょう。

■序 章 水中世界感 ―― そもそも発達障害とは何か
■第1章 博覧強記感 ―― 南方熊楠
■第2章 そこまで言うか感 ―― 与謝野晶子
■第3章 ひとつの青い照明感 ―― 宮沢賢治
■第4章 トウフ屋感 ―― 小津安二郎
■第5章 芸術爆発感 ―― 岡本太郎
■第6章 他者インストール感 ―― 石牟礼道子
■第7章 金切り声感 ―― オノ・ヨーコ
■第8章 コッテリ感 ―― 大江健三郎
■第9章 水晶感 ―― 萩尾望都
■第10章 わちゃわちゃ感 ―― 高橋留美子
■第11章 人類補完計画感 ―― 庵野秀明
■第12章 日常剝離感 ―― 蜷川実花
■第13章 空想上のリア充感 ―― 新海誠
■第14章 ツッコミ待ち感 ―― 村田沙耶香
■第15章 UFO感 ―― 最果タヒ
■第16章 春色の白昼夢感 ―― 米津玄師

この多彩なクリエーターたち選考方針と、このタイトルは何なんだ!と一瞬思いますが
著者なりの戦略がありました。

そして、大変遅ればせながら、惹句を紹介します。

”文学や芸術作品には、一般的な身体感覚から遊離した表現が多く見られる。それらを
読み解く鍵は、発達障害に通じる特性が握っていた?「天才」とされる創作者の仕事に
触発されて、発達障害と診断された著者の経験するさまざまな「感」が立ち現れていく。”

”かつてなく「当事者」が増えたこの時代に、「わからない」「理解できない」と否定さ
れるものを捉え直す。南方熊楠/与謝野晶子/宮沢賢治/小津安二郎/岡本太郎/石牟礼
道子/オノ・ヨーコ/大江健三郎/萩尾望都/高橋留美子/庵野秀明/蜷川実花/
新海誠/村田沙耶香/最果タヒ/米津玄師ら16人の天才の力を借りて「障害」の
意味を肯定的に読み替える「当事者批評」実践の書。”

著者は、1979年生まれの大学の文学の先生。ご自身が、自閉スペクトラム症に悩み、
その観点から,ご自身が好きだったクリエーターの仕事を分析したら,大いなる共感
を感じ、彼らも発達障害ではないかと論じたのが本書でした。

確かに、偉大なるクリエーターには,発達障害の人が多いとは聞いたことがありました
が、この先生にかかれば、芋づる式に出てきます。

本当に発達障害か否かは、証拠立てておらず,状況証拠と主観によって裁かれていくわけ
ですが、これだけのクリエーターが、何もクリエイトしなかったなら、日本は芸術的に
随分貧しい国だったなと思わせました。

まぁ,興味深く刺激的な書ではありました。

そういえば、昔読んだ本で、脳科学者の池谷裕二さんと作家の中村うさぎさんの対談で、
二人がともに自閉症スペクトラム症だったというのがあったので,最後に
紹介しますね。↓

https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1971601387&owner_id=5540901
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