今尾恵介「地図バカ」2023年9月中公新書クラレ
副題は、”地図好きの地図好きによる地図好きのための本。”
本書の内容は、副題がそのものズバリ言い表しています。
偏見かもしれませんが、男性は比較的地図好きが多いような気がしています。
かくいう私も、子どもの頃から、地図帳を眺めるのが大好きでした。
今でも、リビングの手がすぐ届く棚に、高校生用の地図帳「新詳細高等地図 帝国書院
編集部編」や、他にも数冊の地図帳を置いて、なにかあると眺めています。
本書の惹句を、早速紹介しましょう。
”「東が上」の京都市街地図/鳥瞰図絵師・吉田初三郎/アイヌ語地名の宝庫/職人技
のトーマス・クック時刻表/非常事態の地図…著者は半世紀をかけて、古今東西の
地図や時刻表、旅行ガイドブックなどを集めてきた。”
”その“お宝”から約100図版を厳選。ある時は超絶技巧に感嘆し、またある時は
コレクターの熱意に共感する。身近な学校「地図帳」やグーグルマップを深読みする
など、「等高線が読めない」入門者も知って楽しい、めくるめく世界。”
目次と小見出しの抜粋も紹介します。
はじめに
・地図はみんなのもの
1章 余はいかにして「地図バカ」となりしか
・架空都市の地形図
・バングラデシュの小包
2章 地図を愛した先人たち
・鳥瞰図絵師・吉田初三郎の「沿線案内図」
・近代ツーリズムの祖・トーマス・クックの時刻表
3章 お宝地図コレクション
・旧制中学校の世界地図帳
・御即位記念「京都近傍図」の美しさ
4章 西へ東へ、いざ机上旅行
・戦前の鉄道旅行ガイド「旅窓に学ぶ」
・変貌する街・大阪の市電路線図
5章 地名・駅名・バス停名あれこれ
・アイヌ語の宝庫・北海道庁20万分の一地図
・全国の珍名踏切を訪ねて
6章 地図に刻まれた栄枯盛衰
・新旧地形図を比べる楽しみ
・大学の郊外移転先駆けは明治大正期
7章 天災と人災
・洪水と堤防の戦い
・グーグルマップをどう使う?
おわりに
・紙の地図がなくなったら
著者の略歴は以下でした。
1959年横浜市生まれ。明治大学文学部ドイツ文学専攻中退。一般財団法人日本地図
センター客員研究員、日本地図学会「地図と地名」専門部会主査などを務める。
主な著書に『地図マニア 空想の旅』など。
私と同世代の方なんですが、小さい頃からの地図好きが昂じて、大学を中退して、音楽
関係の出版社に勤務するも、独立して、地図関係のライターとして身を立てた方のよう
です。
アカデミズムの方ではなく、趣味が昂じた、アマチュアプロフェッショナルの方です。
今でも、古書店では、地図や地形図を探し、眺めてはうっとりしているそうです。
こういう人生も、いいものですね。
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