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2024年03月03日13:19

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読書日記N o.1598(「大人の頭数を増やす」ということ)

■内田樹「街場の成熟論」2023年9月文藝春秋刊

久しぶりに、内田樹さんの本を手に取って読了しました。

内田さんは、折に触れて、成熟について語り、世の中に、成熟した大人の頭数を増やし
たいと言われます。

全体の7%くらいが「まっとうな大人」であれば、世の中はなんとか回り、10%を
超えたら「かなりよい世の中」になり、大人の比率が15%に達したら、たいへん住み
やすい世の中になると。

そのためには、子どもたちに、「大人になりたい」という成熟への意欲をもってもらわ
なければならないですが、それが減退しているのはないかと。

それは、子どもたちが「楽しそうに暮らしている大人」を間近に見る機会が少なく
なっているのではないか、という課題に直面するということでした。

「大人の仕事を機嫌良くする」ためには、そんな問題意識で、あちこちに書かれた文章
を編んだのが、本書でした。

遅ればせながら、惹句を紹介します。

”ウクライナ戦争、陰謀論、ポスト真実の時代、公共財の私物化、バワークラシー、
ハラスメント……
非常識で、冷笑的な人々が増えたこの国で――”

”・権力者支配(パワークラシー)の国で上昇志向に駆られた人の振る舞い
・なぜ複雑な話は「複雑なまま」扱ったほうがよいのか
・人からの採点を待つ「被査定マインド」をやめる
・ものごとは原理よりも「程度の問題」で考える
・子どもたちを歓待し、承認し、祝福する大切さ……etc.”

”親切、品位、勇気……失われゆく徳目を明らかにし、
〈大人の頭数を増やす〉道しるべがここに”

目次と小見出しの抜粋も紹介します。

■1.ウクライナ危機後の世界
・ウクライナ危機と反抗
・ロシアと日本、衰運のパターン
・複雑な話は複雑なまま扱うことについて
■2.沈みゆく社会
・安倍元首相銃撃の報に接して
・新聞メディアの凋落
・70年後のテレビ
■3.成熟について
・病と癒しの物語「鬼滅の刃」の構造的分析
・勇気について
・親切について
■4.ジェンダーをめぐる諸相
・男たちよ
・女性議員はなぜ少ないのか
・師弟関係とハラスメント
■5.語り継ぐべきこと
・半藤一利「語り継ぐこの国のかたち」解説
・品がよいと悪いとは
・小田嶋隆さんの思い出

内田樹さんの言説に、すべて首肯いているわけではありませんが、しばしば、
他の誰もが言わない、ハッとするようなことを言われて、それが、ストンと腑に落ちる
機会が続くと、また読んでみたいと思って、これまでよく読んできました。

本書でも、それは裏切られませんでした。

へぇー、なるほどね、と。

まぁ、それが、馴染みの著者の本を読み進め、読書をドライブする、キーポイント
のひとつなんですね。
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