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2024年04月15日17:30

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読書日記N o.1608(文学の名探偵の名は、中野のお父さん)

■北村薫「中野のお父さんと五つの謎」2024年2月文藝春秋刊

継続して本を読んでいると、胃もたれがするときがあります。
そんな時、胃薬のように読む本があったりすると、いいですね。

私の場合、北村薫さんの小説は、そのひとつです。
重くなくて、滋味深く、毎回、すっきりとします。

本書は、シリーズ化されて、第4弾とのこと。

30代の出版社勤務の編集者の娘さんの、文学上の疑問を、60代の中野に住む元高校教師
のお父さんが、快刀乱麻を断つごとく解決します、

テーマが文学上の話題であり、その解決の仕方がカタルシスで、すっきりするのです。

それでは、本書の惹句を紹介します。

”〈本の達人〉が贈る名探偵シリーズ第4弾!”

”文藝編集者として出版社に勤める娘が仕事の現場で行き当たった〈謎〉を、
高校の国語教師のお父さんが解決して見せる〈中野のお父さん〉シリーズ第4弾!”

”かの夏目漱石は、英語の〈アイ・ラブ・ユー〉を〈月が綺麗ですね〉と訳した――
世間に広く伝わるこの話、じつは根拠のない伝説だった! ではこの伝説はいつ、
どのように生まれたのか? お父さんの推理が冴える!”

”ほかに芥川龍之介、松本清張、池波正太郎など、〈あの文豪〉の〈こんな謎〉を、
お父さんが見事に解決!”

本書に連作短編のタイトルは以下でした。()は私が付記。

■漱石と月 (夏目漱石)
■清張と手おくれ (松本清張)
■「白浪看板」と語り(池波正太郎)
■煙草入れと万葉集(久保田万太郎)
■芥川と最初の本 (芥川龍之介)

英語の教師でもあった夏目漱石が、I love you.を、月が綺麗ですねと訳したエピソード
はどこかで読んだことがありましたが、都市伝説だったとは、初めて知りました。

でも、その都市伝説が生まれる背景を、本書では丁寧に解き明かしてくれます。

へぇ〜、ほぉ〜と言いながら、いつのまにか、胃がすっきり。

〈本の達人〉とも呼ばれる、作者・北村薫さんの面目躍如です!
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