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2024年02月24日16:02

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1657

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1657        

万城目学 「八月の御所グラウンド」     

先日発表された直木賞の受賞作である。 
本書には一つの短編と一つの中編が収め
られている。

共に京都を舞台とする作品で、短編「十二月の
都大路上下ル」は、毎年12月に行われる高校
駅伝に出場する女子選手の話。初めて万城目作品に
触れる読者にとっては、万城目ワールドを味わう
のにふさわしいかもしれない。また万城目ファンに
とっては肩慣らしという感じ。

中編の表題作は、大学生(京都大学の学生と
思われる)が主人公。8月の暑い京都。朽木は
本来なら四国の四万十川で彼女と夏休みを過ごす
はずだったがフラれた。そこへ友人の多聞から
野球をしないかという誘いが。多聞は卒業のための
卒業論文の単位取得のため教授に頭を下げる。
単位授与のための教授の条件は、教授が主宰する
野球チームで野球をすること。ところが、チームの
メンバーが足りないため、多聞は朽木に声をかけた
次第だ。

全部で6チームの総当たり戦で、各チームの主宰者は、
祇園の元芸者で今はクラブのママと長年の付き合いが
ある。野球の会場は京都御所にあるグラウンドだ。
多聞らは試合に臨むにあたりメンバーが足りずに、
留学生の中国人女子学生シャオにも参加をお願いする。
さらに、試合当日グラウンドのそばにいた人にも声を
かけ、なんとか試合を成立させることができた。この人、
えーちゃんはなかなかの腕前でチームの勝利に貢献する
のだが、さらに職場の後輩二人を次の試合に連れてきて
くれた。

日本の野球の歴史を勉強するシャオさんは、大昔の
日本プロ野球を調べているうちに、ある有名な選手に
いきつく。その選手は多聞らのチームの助っ人の
えーちゃんに似ているらしいのだ。

いったい、えーちゃん、そして彼の後輩二人は
どういう人たちなのか? なぜ彼らは縁もゆかりも
ない多聞らに協力するのか? 著者の描き出す
奇想の世界へと読者は導かれていく・・・。

これまでの万城目作品と比べると、やや小ぶりな
印象だが、内容的にはけっして軽くはない。
何度か読み返したくなる、そんな作品だ。

僕が選んだ万城目学のベスト5は、
●鴨川ホルモー 
●鹿男あをによし 
●プリンセス・トヨトミ 
●かのこちゃんとマドレーヌ夫人、
そして●本書ということになる。

万城目学の直木賞受賞で気になるのは、ほぼ
同時期にデビューし、共に京都大学出身で、
しかも作風が似ている森見登美彦だ。彼にも
直木賞を取ってもらいたいと思う。


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