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2023年11月27日09:56

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韓国映画「京都から届いた手紙」(大阪韓国映画祭2023)

釜山の高台の古い家。
ヘヨン(ハン・ソナ)はソウルでテレビ局に勤めていたが、仕事がうまくいかず、ここに戻ってくる。
彼女の母親・ファジャ(チャ・ミギョン)は急な帰郷をいぶかりつつも、亡くなった夫の祭礼を、長女ヘジン(ハン・チェア)、三女ヘジュとともにとりおこなう。

ヘヨンはひさしぶりの母親の様子を見て、みょうに物忘れが多くなっていたりといった異変が気になる。
ヘジンは釜山の雑貨ショップに勤務しているが、上司である元カレとはぎくしゃくするし、昇進のめども立たない。
そんな折、店にやってきたロシア人船員と飲み屋で偶然再会し、なんだか彼のことが気になるのだった。

末っ子のヘジュは、家族には内緒でヒップホップダンスを習っており、ソウルへ出るのが夢だ。

ファジャは、配達の仕事をこなしながら、幼なじみと昔語りをする。
「いつも『すみません』と言ってたね」とファジャに言う幼なじみ。

実はファジャは日本生まれで、釜山に越してきた頃、まだ韓国語がうまく喋れなかった。
父が日本に出稼ぎに行ったとき、京都で日本人女性と出会い、生まれたのが花子(ファジャ)。しかし、ファジャの母は日本に残り、ファジャを連れて父は韓国に戻る。
その頃、幼なじみが、ファジャをよく助けてくれたのだった。
高台から釜山の海を眺めながら「日本にいたときの風景と似ている」とファジャはつぶやく。

その後、京都にいる母親からは幾度かファジャあてに手紙が届いた。
そのエアメールをいまだファジャは大事に取っておいた。
ヘヨンがそれを見つけ、「おばあちゃんからの手紙?なんて書いてあるの?」と尋ねるが、ファジャは「日本語はもう忘れてしまった」と言う。

ヘヨンもヘジンも日本語が分からない。手紙の文面を翻訳ソフトにかけたが不正確だ。
さらに手書きの文字は少しクセがある。
手紙には別途、レシピのようなものが同封されていた。
母・ファジャがよく小豆を練ってつくるお菓子と関係あるのかもしれない。

ファジャは認知症の初期症状なのか、記憶障害だと病院で告げられた。
だが町の高台で、高齢のおばあさんと出会う。
その老女は、朝鮮戦争の時の北からの避難民のようで「わたしは死んでも故郷に帰れないんだよ」と嘆く。
その言葉を聞き、ファジャは決意するのだった。
「京都に行きたい」。

娘三姉妹が付き添い、ファジャは京都へ。列車の車内販売で「きんつば」を買う。
それは幼い頃、日本で食べた思い出の味だった。

ファジャの母親は、京都のはずれにある、高台から海の見える精神病院に入院していた。しかし、病院にはもはや、当時のカルテが残っていなかった。
だがファジャは記憶の中にある、木立ちの中で、娘たちと写真を撮る。

帰国したファジャは、病院のプログラムに従い、認知機能を高める体操をしている。
ただ、物忘れは進んでいて、京都で撮った写真に「いつ撮ったの?」と、ヘヨンにたずねる。
ヘヨンはやさしく「おばあちゃんをたすねて行ってきたでしょ?」と答えるのだった。

長女のヘジンは、ロシア人船員といい仲のようだ。
ヘヨンは、地元の釜山で新しい仕事を始めた。
ヘジュは、念願のソウルに行ってダンスに打ち込むが、釜山と違って海がよく見えず、初めて故郷が恋しいと思う。


この映画、「京都」が日本人が想起するような街ではなく、高台から海が見える地形と言い、京都市というより、宮津市や舞鶴市みたいな感じ。
「京都市高宮区」と劇中に出てくるが、もちろん存在しない。
まあ、架空の日本の街、ということなのでしょう。列車のシーンも、新幹線でもない特急でもない新快速でもない、不思議な感じでした(;´∀`)。
でも、大事件が起きるわけではないが、しみじみと心に残る佳作。
三姉妹の釜山への愛着を描くと同時に、母親の、ずっと帰れない故郷への愛情を浮き彫りにしている。
そして北からの避難民の言葉を契機に、ファジャが日本に行くことを決意するところなどが、いかにも韓国らしい描写だ。
母親役のチャ・ミギョンは、「タクシー運転手」で、おにぎりを差し入れるおばちゃん役で出ていますね。
(11月23日、グランフロント大阪)
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