2006年、アフガニスタンの荒野を走るバス。中には23人のキリスト教徒の韓国人たち。しかしタリバンの武装集団に急襲され、拉致された。
そして韓国政府には、その人質解放の条件に、アフガンからの韓国軍撤退と、収監中のタリバンの囚人の釈放を求める。
解放交渉のため、外交部(日本の外務省に当たる)の室長・ジェホ(ファン・ジョンミン)と次官(チョン・ジェソン)がアフガニスタンに派遣された。
しかし、到着早々、テロリストの自爆テロが至近距離で起こり、怪我を負うが辛くも助かったジェホ。
一方、韓国国家情報院も動き出す。パキスタンに潜伏している工作員・デシク(ヒョンビン)は、現地に長らく住む、パシュトゥーン語が堪能なカシム(カン・ギヨン)を通訳に、アフガン部族長会議と交渉。
そこへジェホもやってくる。反目し合うジェホとデシクだったが、部族長たちの宴席に付き合い、ようやく人質解放を取り付けた。
ところが、「ボランティアのためアフガンで活動」と聞かされていた人質が、「キリスト教の宣教」が目的と知って、イスラム教徒の部族長たちは激怒。
韓国国内のニュースでのコメンテーターの発言が、なんとアルジャジーラで字幕付きで流れて、知られるところとなったのだ。
タリバンはタイムリミットを付けて、囚人の解放を強硬に求めてきた。
あせるジェホたち。
そこへ交渉の代理人をして、200万ドルで人質を解放させるというイギリス人実業家が現れる。
信憑性のある彼の話を信じ、ジェホやデシクも200万ドルを調達してカバンに詰めるが、これは巧妙な詐欺で、男が名乗った人物は既に死亡していた。
激しいカーチェイスの末、身代金を体を張ってデシクが取り戻す。
状況は悪化、韓国政府は韓国軍を出して人質救出をする作戦を決定。
しかし、人質たちが死んでしまうリスクが高い。
ジェホは解放交渉の任を解かれ、ソウルへの帰国命令が出た。
だがジェホは、テレビ中継で「妻を助けてください!」と懇願する、韓国の家族を見て、
大統領秘書官に直接「タリバン側と対面交渉させてくれ」と電話で懇願。
上司は「テロリストと直接の交渉はダメだ!」と激怒するが、ジェホは命を懸け、デシクと通訳のカシムとともに、砂漠の只中へ出かけて行くのだった。
そして対面したタリバンのリーダーという男に「あなたが本当に権力者ならば、人質をまずふたり解放してみろ」と、思わぬ条件を突きつける・・・。
実際にあった事件をベースにしているらしいが、もちろんかなりの部分はフィクション。
しかし、人質解放のミッションを帯び、イスラム圏のテロリスト相手という、困難な交渉をどう取引して切り抜け、解決に導くかー。
そのへんのやりとりの緊張感が全編つづく。
なにしろ、アフガニスタン政府、タリバン、部族長と交渉相手が多岐にわたり、アフガン政府は、タリバンの囚人解放は認めない。どのスタンスで交渉を続ければ、人質の命は助かるのか?
手探りの中で外交官、工作員の懊悩は深まり、反目するふたりが、いつしか「相棒」となっていく。
しかしながらあのイスラム圏でキリスト教の布教なんて、土台無理やろ?とまず思ってしまった(まさか統一教会だったのか??)。
息詰まる展開やアクションシーンも織り込まれ、近過去の事件さえエンタメ映画としてサスペンスフルに制作してしまうのが、韓国映画らしいところ。
原題は「교섭」(交渉)。
ワケわからない邦題よりも、こっちのほうがいいと思うのだが、ちょっと地味すぎるか。
(10月26日、ららぽーと福岡)
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