福岡市ではかつては「アジアフォーカス福岡映画祭」というアジア映画を上映する、市主催の大きな映画祭が長らく開催されていたが、終了してしまった。
残念である。
その後継というか、かなり規模を縮小してひっそりと、「福岡アジアフィルムフェスティバル」という催しが、中洲川端の「アジア美術館」の小ホールで開かれていた。
その中で見た1本である。
ペ・ドゥナの出世作「子猫をお願い」のチョン・ジェウン監督による、ドキュメンタリー。
ソウルの江東区に建つトゥンチョン団地は、かつてはアジア最大の団地と言われ、6000世帯、3万人近くが暮らしていた。
しかし、老朽化が進み、ここは解体されることに。住人らも移転を余儀なくされる。
団地には250匹もの「地域猫」が暮らし、団地の愛猫家たちが面倒を見ていたのだが、地域の再開発がもちあがったため「トゥンチョン団地猫の幸せ移住計画クラブ」が発足。
何匹かの猫たちは保護猫として、もらわれていき、ほかの猫たちは、クラブのメンバーたちが、「餌やり場」を、解体工事のエリア外に移して、見守り続ける。
団地の取り壊しで、内部に猫が取り残されないように、地下室もパトロールして、猫たちを探し出す。
その活動を、四季を通じて描き出しているのだが、まあ、出てくる猫出てくる猫、どれも「デブ猫」ばかり(;´∀`)。
団地のみんなに可愛がられて、いっぱいごはんをもらってるんだろうなあ・・というのがよくわかる。みな、丸々と太ってるのだ。
よく見かける猫は名前も付けてもらい、クラブのメンバーは、猫の性格も把握。
そして活動の中で「猫の幸せって何だろう?」と考えながら、どうしたら安全に猫たちの生活を保って行けるか、試行錯誤も続く。
とにかく、画面に次々、いろんな猫たちが登場するから、愛猫家には楽しい映画である!(^^)!
そしてクラブのメンバーたちはみな女性ばかり。彼女たちが主体になって、再開発プロジェクトの影で見過ごされそうな猫たちの生活を支えるのだ。
ところで、わたしが初めて韓国旅行をした35年ぐらい前は「韓国ではペットとしては猫は人気がない」と聞いていた。
90年代はじめに、韓国の大学で日本語教師をしていたわたしの友人も、
「韓国人は、『猫は目が光って不気味』なんて言って、あまり猫を飼いたがらない。ペットショップに行っても、猫用グッズってあまり見かけない」と言ってたほどだ。
それが30年ほどで、韓国人の価値観や嗜好も変わって来たのか?
猫をキャラクターにしたグッズも多い。猫が出てくる韓国映画も制作されてるし、この映画を見ると、日本同様、愛猫家も多いし、「保護猫活動」(野良猫を去勢、避妊して、目印に、片耳の一部を少しカットする)も日本のそれとおんなじだ。
映画の最後は、取り壊されて廃墟のようになった団地の跡地の空撮風景。
なんともいえないさみしさがただよう。
しかし、まだ敷地内に残った並木には桜が咲き、新しい暮らしのはじまりが感じられる。
猫たちがおだやかな暮らしを続けられていればいいな。
でもやっぱりあの体型は太り過ぎだ(;´∀`)
(9月18日、あじびホール)
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