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2023年08月29日08:43

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NODA・MAP「兎、波を走る」

<公式サイトの案内より>
舞台は「つぶれかかった遊園地」。迷子になった娘をさがす母親の妄想が「不思議の国のアリス」のショーと交錯していく。
「世界的な劇作家」の末裔たちとも絡んで物語が展開し、母は「兎」と出会い、娘の行方を求めて「兎」を追いかけるが・・

野田秀樹、作・演出。
走り回る「脱兎」に高橋一生。娘をさがす母親が松たか子、その娘が多部未華子という豪華共演陣。

野田秀樹の演劇をナマで見るのは初めて。
ストーリーらしいストーリーはなく、幾重にもはりめぐらされた物語の人物が錯綜し、「脱兎」も「娘」もどこへ行くのか見当がつかない。
しかしながら、たたみかけるようなセリフのテンポの良さ、言葉遊びがたくみなアナグラム、親父ギャグの連発がさそう会場の笑いと、舞台に弛緩が入るスキがない。

デジタル映像を使った舞台装置の意外さ、一瞬にして登場人物が消え去ったりするスピード感に押され、「母親」と「娘」の再会がかなうのか、「脱兎」はどこへ皆を導くのか?
2時間のお芝居があっというまでした。

高橋一生は、ふだんのテレビドラマとはまたフェイズをがらりと変えたような声色で、「脱兎」だけに常に舞台上を走り回っている印象。
松たか子も、失くしたのは娘なのか、彼女自身なのか、混とんとした世界の中での演技力が光る。

いわば不条理劇なのですが、それが不条理で不可解に見えないコメディタッチで迫ってきます。そして「この世界の悲劇こそが不条理極まりないのだ」、と納得させられる、そういう着地点です。


わたしは高橋一生くんのファンなので、ぜひ見たいと思って取ったチケットでしたが、それが体調を崩す前。
せっかくのチケットなのに、無事に見に行けるだろうかと案じていましたが、なんとか劇場に足を運べるまでに身体も回復して一安心。

ちなみに、わたしがかつて東京で勤務していた会社の当時のS社長は、東大で野田秀樹氏といっしょに演劇をやっていたとか。
社内報で読んだところによるとS社長は「演劇は大学で終わり」と決めていて、普通に就活をしたのだが、卒業式の日も、野田秀樹氏が芝居の準備をしているのを見て「野田君がまぶしく思えた」と言う。
S社長は、野田秀樹の芝居があるたびに足を運んで、観劇しているそうだ。
(8月25日、博多座)
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