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2023年08月26日15:27

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第131回音楽家講座〜甲野善紀先生を迎えて〜in鶴見 8月23日(水)

前回の先生の音楽家講座は5月23日でしたので、丁度3か月ぶりとなりました。

すっかり体調もご回復されたと思いきや、今度は香川、岡山等の講習会が続き、前日も帰京してすぐに東京駅からスタジオ直行で動画配信されている「夜間飛行」のお仕事の撮影というハードスケジュール。
疲れすぎて、夜もあまり眠れなかったとのことでした。

そのような中、開講してくださったこと、本当に申し訳ないやら、有難いやら・・

会場に到着された折の先生は、これまで見たこともない程、顔色が悪く、案じられたのですが、幸い控室でゆっくりと巨峰など召し上がっていただくうちに、通常に戻られました。

この異常な暑さの中、軽い熱中症のような症状になっていたらしいです。

来年は後期高齢者となられることを考えると、本当に御忙し過ぎるのかもしれませんが、
こうして人と会い、技の追求をされることがエネルギーの基にもなっておいでなのだから、もう致し方ないのか?とも。

それにしても、この異常気象下では、来年から7,8月は音楽家講座はお休みにした方が良いのかもなど色々思案しています。

先生の体調は決して本調子ではありませんでしたが、内容はいつにも増して深く充実した素晴らしいものでした。

また講座が進むに連れてどんどんと元気になられ、特に新しい技を披露される時などは、本当に生き生きとされました。

・・・・・・・・

(お話)
人間の身体というのは本当に不思議でわからないもの。

2008年から刀を寄せて持つようになり、これは今後もう変わらないだろうと思っていたのが、離して持つようになった。

「ソの字立ち」でつま先を外に開いて立つと(もちろんただこのような形状で立つだけとは違うが)頭の中で「怖い」と感じるものがなくなる。
また、「やられる」という感じがなくなる。

音楽家でも、天才的名手というのは、登場した瞬間あきらかに違い、ホール全体を覆う様に制圧し支配しているものだ。
緊張をなくす、というものでは、他にも労宮に働きかけるものがある。(蕾の手の内等)

練習して回数をやればできるというものではない世界。

「努力する」はおおっぴらに言うことじゃない。

「努力する」には嫌なのに無理やりやる感じが漂っている。

母国語の様にドイツ語をあやつって現地で仕事をしていた人が認知症になると、日本語はわかっても、ドイツ語はすっかりわからなくなってしまったそうだ。

本当に身に付くものというのは努力感がない。

筋トレの問題は動きが不器用になるということ。

筋トレをやめて成果を上げているラグビー選手もいる。

筋トレではやっていることの必然性を感じられていないが、木登りであれば落ちたら死ぬので、ものすごく必然性を感じて動く。(この違いは大きい。)

自分の中でやった時の色々なものを検証していかなくてはならない。

練習に必然性があり、それをやっている努力感がない、というのが良い。

努力賛美は良くない。

きっかけは努力でも、その後変わっていけるように。

かつて職人の世界では、自分の意欲が湧いた時にしか仕事をしない、というものだった。

(自分の技は)「浮いて安定」というものだが「浮いている」というのは何かに依存するのではなく珠がコロコロと転がる様に自在に変転していくことだ。

「やろう」と思うのを飛ばしてやる。

その場をバーっと把握する力でもある。

カリスマセールスマンというのは、初めての相手でも前から良く知っているかのようになって対峙する。

(技の紹介)
・上腕が突然伸びる
・自分だけ足の下が地震で物凄く揺れる
・後ろに向かって抜けていく

等、自分がパっと気持ちを切り替えての技。

私が邪魔されない、という感じがあると自分の中の世界で今まで知らなかった感覚が開いてくる。それに夢中になれると全く違う世界が開けてくる。

意識から無意識へ。
殆どの人間は「最初から意識したら出来ない」という世界を知らない。
(人間毬等)
(技)
・木刀での打ち合い
・腰かけることをやめる、という椅子からの立ちあがり方

どこかで学ぼうとする意欲を擦り切れさせたり、欲にまみれさすのは違う。

常に変わる。74歳でごく最近できるようになった。

ものを学ぶ上での学び方がどこに結びついているか。

結果、「人間とはどういうものか?」に結びついている。

(技)
・腕を後ろからまわして腰から繋げる
・もう片方の腕で肘を寄せて繋げる
・丸紐による四方襷
によって腰かけた相手を力感なく起こす。

・・・・・・・・・・・・・・・・・
(個別指導)
1.ゴスペル
高い声などが出にくい。

胸紐で大きく変化。

2.ギター
自分の姿勢に違和感があり疲れるのでなんとかしたい。

指が動きやすくなると身体全部の感じが変わるので、と指紐と、四方襷で大きく変化。
紐を物理的だけでなく感覚で取り入れられるようになってくると、それだけで、誰かに教わっているようになる。

   「締まるところと抜けるところが感じられる」と受講されたギタリストの感想。

3.うた
声をより出せるようにしたい。リズム感をよくしたい。

声・・胸紐で大きく変化。
リズム・・自分の身体の動きを、人間の調子を測っている拍子を消していくと、身体の中に刻まれている拍子が浮いて来る。

椅子からの立ち上がり(腰かけることをやめる)時の様に全くやっている感じがしない。

4.うた
喉が締まってくるのをなんとかしたい。

労宮に力が集まる手の内にして歌う。

5.うた
高音が出しにくい。より音量も出したい。

胸紐で大きく変化。
さらに労宮で変化。この時指は動かし続けても良い。


時間があったので、最後に私も。
6.フルート(白川)
20年やってきて、この先も変わらないだろう、と思っていた掬い手を返す右手の取り扱い方法が変化した。抜刀による構え方となり、右手は良いのだけれど、左手が鞘を送るように左にやってから戻すと、身体の状態はこれが一番よいけれど、ステージ上ではオーバーアクションとなりよろしくない。
さりとてそばでやってしまうと、今度は左手にツマリが生じる。
これをなんとかコンパクトにまとめてさりげなくやれるようにしたい。


左手をダルダルユルユルにして、その存在を忘れてやる。

(技の紹介)
相手に対峙する腕はダルダルユルユルで、使わない片方の手は手の内。
接触面の感覚は全くないのに、足元から崩される。

すぐに先生の通りに出来る、というものではないので、今後の課題ではあるが、ステージ上で、左の存在を消して一音出した時の音は確実に変化。身体の状態も。
「左右が協力し合わない」の構になれるか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さらに時間があったので、最後の20分程は自由時間とし、お互い語り合ったり、先生から紐を購入したり、一緒に記念撮影をしたり、と和気あいあいの中、無事終了。

打ち上げは、当初先生は大丈夫です、と仰っていたのを私が「やめましょう!」と主宰者権限で中止に。

「皆さんだけでもどうぞ」とも仰ってくださいましたが、そうすると、きっと先生は参加されてしまうのが目に見えていたので、ナシとしました。

今回たまたまですが、最後に自由時間が取れたことが、受講された皆様同士の懇親と情報交換の場にもなり、良かったです。毎回、という訳にもいかないですが、こうしたフリーな時間の大切さも再認識しました。

先生はすっかりお元気なご様子になっておいででしたが、御帰宅後のツイートで本当に大変なコンデイションの中、開催してくださったことが改めて感じられ、ただただ感謝です。

この音楽家講座はコンサートホールという会場の関係からいつも半年前からスケジュールを押さえていただいているので、どうしてもその後先生のご予定に無理をさせるようになってしまっています。

それもあり、来月9月27日開催の後は、11月で年内終了としました。

来年は2月に音楽家講座特別企画も企画中です。

今までよりも開催の機会は半分となりますが、より濃厚な場となるかと思います。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

ご参加くださった皆様、会場スタッフの皆様、スタッフ五十嵐くん、鈴木さん、
そして甲野先生、本当に素敵な時間をありがとうございました!

・・・・・・・

・・ソの字立ちで全身する先生の姿は本当にヒヤっと背筋が凍りつくような不気味さがありました。何がそのように感じさせるのか?は皆目わからないけれど、まさにその場を支配する動きではないかな、と。







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