ウィリアム・モリスのデザインが好きなので、かつて勤務していた会社の後輩を誘って見に行く。
<公式サイトの案内文より>
「アーツ・アンド・クラフツ」をひとことで言えば、それは生活に機能と美、すなわちデザインを取り入れようという考え方です。ウィリアム・モリスが新婚の家の壁紙やタイル、家具まで仲間たちと手作りしたのは、画一化された工業製品を生み出した第二次産業革命への対抗だったのかもしれません。モリスの考えは賛同者を得て「アーツ・アンド・クラフツ運動」となり、その変奏は英国をこえて広くヨーロッパへ、そしてアメリカをはじめ世界各地へと広まることになります。
本展では、モリスの代表作に始まり、アーツ・アンド・クラフツの立役者たち、さらにリバティ商会などのデザイナーによるプロダクト、そしてティファニーを始めとするアメリカでの展開まで、約170点の作品を紹介します。
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モリスの壁紙のデザインに代表される、草花や鳥をあしらった一連のデザインって、シンプルなのに時代を感じさせないモダンさ。
グループで見に来ていた中年男性が、「19世紀に制作されたのに、最近作りました、と言われてもおかしくないぐらいしゃれてますよねえ」と感心したように言う。
過去にもモリスのデザインの展覧会に行ったことがあるが、そのときにも、なぜ自分はこのデザインにそんなに惹かれるんだろう?と考え、「忍冬唐草文様」が、高校生の頃から好きなことに思い至った。
エジプト、アッシリア、ギリシアに発し、中国を経て日本に伝来したという文様。
そのシンプルな様式は、「泥棒が持ってる風呂敷」の唐草文様である。正倉院の宝物などの装飾にも見られる。
壁紙、木綿のプリント、カーテン、そして刺繍の工芸品など、モリスやその工房のデザインは多岐にわたる。
こういうのが生活のそばにあったら、さぞ落ち着くだろうなあ。
ほかには、食器、花瓶、ランプシェードなど、身近な工芸品などもおしゃれなデザインで、古さを感じさせない。
銀製品かと思った食器や容器は、「ピューター」と呼ばれる合金だった。
どれもハイセンスなデザイン。こういうのは時代を超えた普遍性なのだと思う。
「久留米市美術館」は、かつては石橋美術館と呼ばれ、あのブリジストンが運営していたのだが、青木繁などの有名どころの収蔵品を引き上げて経営からも手を引いてしまった。
子どもだったわたしが、初めて行った美術館がここである。この日は庭園のバラがきれいに咲いていて、来園者を楽しませてくれる。
園内のカフェでは、イギリスにちなんでメニューに「コーディアル」(ハーブやフルーツを生のままシロップに漬け込んだ濃縮ドリンク)が出されていたので、後輩ともどもそちらを注文。
ブルーベリーの入った、酸味の利いたドリンクは、ちょっと暑いこの日にはぴったりでした(久留米市はこの日32度まで気温が上がったらしい)。
(6月20日)
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