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2023年03月05日15:19

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1590

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1590        

凪良ゆう 「汝、星のごとく」        

この作家の作品を読むのは「流浪の月」に続いて
2作目だ。今回も傑作だ。人間の生き方、愛の
多様性が、この作家のテーマなのかもしれない。

四国の小さな島。そこに暮らす高校生の櫂(かい)と
暁海(あきみ)が主人公だ。この2人の18歳から
32歳まで波乱万丈の人生が描かれる。

櫂は母親と2人暮らし。母親はスナック経営だが、
失恋を繰り返している。いくつになっても男を
見る目がない。暁海も母親と2人暮らし。父親は
恋人ができて家を出て行っている。そんな似た
家庭環境の2人が恋人となる。

櫂の夢はマンガ作家。その夢が実現し、作品が
売れ、東京に移住する。島に残る暁海は平凡な
OLとなる。彼女の趣味は刺繍で、その先生は
父親の恋人である。暁海は精神的にも経済的にも
自立している父親の恋人にあこがれる。

暁海と櫂の遠距離恋愛は長く続く。暁海はときどき
上京するが、櫂は仕事が忙しくなり帰省することは
減っていく・・・。

この小説には、人と人との関係、人生の選択に
ついて多くの要素が含まれている。人が自分の
人生をどう紡いでいくのか。女性が精神的に
自立するためには経済的にも自立しないと
いけないのか。自分の人生のために自分以外の
人間、とりわけ身近で大切な人を切り捨てられる
のか。男と女の関係で何が一番大切なものなのか。
異性以外の恋愛はどうなのか。

そのどれにも決定的な解答はない。解答はないが、
相手の思いを尊重し、それでいて自分自身にも
正直に生きることが重要であることを、そして
そんな風に誠実に生きることの難しさを、
本書は教えてくれる。

万人に薦めたい良書だ。




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