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2022年09月02日11:53

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★洋ちゃんの読観聴 No. 1559

★洋ちゃんの読観聴 No. 1559       

馳星周 「月の王」            

著者お得意のハードボイルド系冒険小説だが、
本作品では伝奇小説の装いを見せている。

時は第二次世界大戦前で、舞台は上海。欧米
列強と日本が支配する租界である。

後続の血を引く令嬢が留学先のフランスで
フランス人男性と駆け落ちし、船で上海に
向かう。在上海の日本の特務機関は本国より
令嬢を安全に日本に送るよう命令を受ける。
中国国民党の命を受けた特殊機関「藍衣社」は
令嬢を拉致し、日本との交渉に利用しようとする。

日本の天皇は彼の護衛である大神(主人公)を
上海に送り令嬢を守ろうとする。だが、大神は
一匹狼の行動をとり、特務機関のリーダー伊那
らの反感をかう。しかし、少しずつ伊那らは
大神のたぐいまれな能力を評価する。

実は、大神は人間ではなく狼。持統天皇の
時代に天皇家の日の王と密約を交わしており、
月の王は天皇家を守り抜くことになっていた。
大神は人間の血を吸うことでエネルギー源と
している。

遠い昔に大神には恋人がいた。その恋人は
姿を変えて上海にいて飲食店を経営している
のだが、彼女自身は昔の記憶がない。だが、
大神に求められるまま令嬢をかくまったりして
大神に協力する。

次から次へと繰り返される藍衣社と大神との
戦闘シーンが読みどころとなっている。
藍衣社のリーダーの男も、大神並みの抜群の
能力を持っており、やがて彼も人間でない
ことが分かってくる。

荒唐無稽ではあるが、エンタメ小説としては
読みごたえがある。

ラストシーンの様子から察するに、この作品は
続編があるのかもしれないと思った。

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