インナム(ファン・ジョンミン)は、韓国の元特殊工作員だったが、暗殺も実行する部門が明らかになったことで立場を追われ、今は「闇の仕事人」となっていた。
彼の最後の仕事は東京での暗殺。
ターゲットのコレエダ・ダイスケ(豊原功補)はヤクザの大物。コレエダを殺した後、インナムが受け取ったのは、使いきれないほどの大金。
もうこのあとは殺し屋家業を引退して、パナマでのんびりと余生を過ごそうと考える。
ところが、仲間からの連絡で、かつての恋人が、タイのバンコクで殺されたことを知った。
彼女にはユミンという9歳の娘がいて、誘拐されて行方不明だという。
恋人と別れた時期を考えると、ユミンは自分の血を分けた娘に間違いない。
インナムは急きょ、バンコクに飛ぶ。
ところが、コレエダにはレイ(イ・ジョンジェ)という弟がいた。
コレエダ、レイとも実は在日で、レイは兄の復讐として、インナムのあとを追う。
バンコクでのユミンの捜索を、地元に住む韓国人・ユイ(パク・ジョンミン)が通訳も兼ねて手伝ってくれることになった。
ユイは女性になる適合手術を受けるためにタイに渡って、ジョーパブで働いていた。
ユミンは家政婦が手引きして組織に誘拐され、しかも臓器移植のためだったと知るインナム。一刻も猶予はならない。
だが、レイは執拗なうえに、常軌を逸した殺人鬼のような男だった。
人を殺すのに善悪の感情などなく、ただ、殺したいから殺していく。
手術の高額のお金のために、とガイドを引き受けたつもりが、犯罪組織の大きさにおののくユイ。
なんとかユミンの監禁場所を突き止め、救い出すインナムだったが、ユミンは誘拐、監禁の恐怖で喋ることができない。
しかし、ヤミ臓器移植を請け負うタイのマフィア組織、タイ警察も巻き込み、インナムの身は危険にさらされ、さらに狂気に満ちたレイがインナムに迫る。
そしてインナムとレイはバンコクの真ん中で、機関銃や手りゅう弾を繰り出し、市街戦のような死闘となるのだったー。
今年最初の映画は、R12の韓国ノワール映画。
バイオレンスシーン、残酷シーンが多くて、清く正しい市民生活を送っている人にはお勧めできませんが、サスペンスあふれるノワール映画としてはなかなかの出来。
東京、仁川(インチョン)、バンコクと舞台を変え、孤独で非情な殺し屋が、娘には自分の命を投げ出す献身ぶり。
そして「殺し」の腕は抜群ながら、殺人マシーンのごときレイの、さらに上を行く冷酷さ。
このキャラクター設定、また、はたして娘は助かるのか、そしてインナムは本当にパナマに行けるのか?
そのへんのハラハラ感も、物語を盛り上げてくれます。
映画館では新春サービスとのことで、この映画のポストカードが来場者にプレゼントされました。
(1月4日 梅田ブルク)
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