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2021年07月10日10:12

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映画「サムジンカンパニー1995」

1995年の韓国は金泳三大統領のもと「これからはグローバル化」が合言葉になっていた。

そんな時代、ソウルの大企業「サムジン電子」で働く、高卒OLたち。
ジャヨン(コ・アソン)は、生産管理部所属。仕事はできるのに、実際はお茶くみや会議室の清掃の雑用ばかり。後輩なのに大卒なのでチェ代理(チョ・ヒョンチョル)が、彼女の上役なのだ。

ユナ(イ・ソム)は、またも商品コピーのアイディアを、大卒総合職の女性に横取りされて立腹。しかもランチ用のマクドナルドのセットを買いに行かされる日々。

ボラム(パク・ヘス)は、数学大会の優勝経験もあるのに、やらされているのは、領収書の数字をごまかして処理すること。まさに宝の持ち腐れだった。

高卒女子社員はダサい制服を着せられ、実務能力があっても、大卒社員より給料はぐっと低い。妊娠した先輩社員は「マタハラ」で泣く泣く退社していった。

彼女たちの不満解消のためなのか、「TOEICで600点超えたら「代理」に昇進させる」と社内通達がおこなわれた。
そのため、ジャヨン、ユナ、ボラムの三人も早朝の英語教室に通って勉強に励むのだった。

ある日、ジャヨンは本社の工場がある村へと出向いたとき、川で魚の大量死を目撃。川には排水が。それは自社工場から出されている。

ただならぬものを感じた彼女は、ユナとボラムに相談。
しかし、会社は水質検査は問題ないとし、村の住人にはわずかな金の補償金を出しただけ。

納得できないジャヨンらは、水質検査書類を調べてみる。
アメリカの会社に依頼したとなっているが、彼女たちのいまの英会話能力では、国際電話は聞き取れない。
英会話教室の講師の先生に頼み込み、公衆電話からどんどんコインが落ちる国際電話をかけてもらったところ、そこは検査会社ではなく、農場だった。

ますます疑惑が広がる。あの水質検査書類は、でっちあげだ。
ジャヨンたちは、ソウル大学に検査を依頼したことをつきとめ、研究室に行くが、研究員は書類は破棄するように言われた、と言うのだ。

ボラムはその計算能力で、排水口の口径や排出量から、大量の有毒物質・フェノールが川に流れ込んでいた、と断定。
かくして、三人は、会社の不正をあばくため奔走を始めるが、行く手には厚い壁がたちはだかる。

ジャヨンは、事なかれ主義で、なかったことにしようとしたチェ代理を、どやしつける。
そしてユナやボラムに「剣を抜いたのに、何もしないの!?」と発破をかけるのだ。


実際に韓国であった、企業の内部告発事件をモデルにしているそうだが、これは胸のすく、ガールズ・ストーリー。
学歴差別、女性差別、大企業の横暴などを織り込み、ヒラ社員のOLたちが、持てる力を駆使して、自社のお偉いさんたちに対峙して不正を暴いていく、痛快な物語だ。

1995年が舞台だから、携帯電話は普及しておらず、ジャヨンたちは公衆電話にコインを入れて通話しているし、オフィスのパソコンは大きなデスクトップの32ビット。
仕事を持て余したボラムがこっそりやってるゲームは「テトリス」だ。
常務の会話をこっそり録音するのは、SONYの小型録音機。

ジャヨンたちはいったんは会社にはね返され、「追い出し部屋」みたいな形で仕事をさせられる。それでも会社を辞めない。
彼女たちは、自分たちが働いている場は、ちゃんとした企業であってほしいのだ。
そして株主たちを味方にして、会社の目論見をはばもうとする。

ボラムの上司・ポン部長(キム・ジョンス)は、彼女に
「人がこのくらいだと決めた世界が全部じゃない。楽しいと思うことをしろ」と言う。
この映画、印象的な台詞が多く、ジャヨンが、

「わたしの時間の大半を占める会社の仕事が、意味のあるものであってほしい」
と切々と居酒屋で言うシーンは、刺さったなあ。
わたしも会社員時代、そう思っていたから。

ラストのエンドロールは、当時のコンピュータゲームのテイストを生かした画面構成で面白い。
働く女性たちにおすすめの映画です。
(7月9日、シネマート心斎橋)
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