まだ大阪は緊急事態宣言下で、多くの映画館が休館。
これもテレビ視聴した映画です。
ヒッチコック作品はけっこう見ていますが、これは未見。
しかもポール・ニューマン主演。
彼がヒッチコックの映画に出ていたとは知りませんでした。
1966年製作、アメリカ映画。
物理学者のマイケル(ポール・ニューマン)は、婚約者で助手も務めているサラ(ジュリー・アンドリュース)とともに、学会の出席のため船でコペンハーゲンに向かっていた。
しかし、船内で電報を受け取ったマイケルは、コペンハーゲンの運河沿いの書店で本を受け取る。
ひそかにトイレで本を開くマイケル。その中の暗号には「π(パイ)に接触せよ」という言葉が。
彼はホテルで「ストックホルムに行くことになった」とサラに告げる。
サラは結婚式はいつになるのか、とたずねてもはぐらかすマイケルの態度にも不審をいだいており、ホテルのカウンターでたずねると、マイケルが予約したのは、なぜか東ベルリン行きだった。
サラはひそかに自分も同じ便の航空券を予約。
機内でサラが搭乗しているのに気づいたマイケルは動揺するが、タラップを降りると、記者団に歓迎され取材を受け、さっそく東独要人のもとへ。
なんと彼は「核迎撃ミサイルの研究をしていたが、アメリカでは打ち切られるので、東独で、物理学の頭脳を生かすことにした」と声明まで発表するではないか。
サラは驚愕。マイケルに「国を売ったのね!」と罵倒する。
マイケルにはカール・マルクス大学での研究職が与えられていた。
しかしながら、マイケルと別れたくないサラは、自分もこの地で、マイケルの研究を手伝う、としぶしぶ東独保安省の人間に答える。
マイケルには監視役としてグロメクという男が付けられた。
マイケルはグロメクの尾行をベルリン美術館で撒き、郊外の農場へタクシーで出かけ、「π」と接触。πは、ライプツィヒにいる諜報員コスカ医師(ギゼラ・フィッシャー)に接触するように言う。
そう、マイケルは東側亡命を装った諜報員だったのだ。
しかし、グロメクがバイクでマイケルを追ってきたため、πの妻と共に、グロメクをやむなく殺害。死体とオートバイを農家の庭に埋める。
ライプツィヒでは、コスカ医師からは、リント教授に会うことを指示されるマイケル。
そしてサラには、自分の正体を明かすのだった。彼が「売国奴」でないことを知ってサラはようやく安堵。
しかし、グロメクの行方不明が報じられ、農場で帰りを待っていたタクシー運転手が、グロメクを目撃していたため、マイケルの身辺はあわただしくなる。
リント教授から迎撃ミサイルの弾道に関する、キーになる数式をようやく聞き出したマイケル。
コスカの手引きで、マイケルとサラは、大学から脱出し、今度は同じ諜報グループの協力で、「臨時バス」を仕立ててもらい、ベルリンへと向かった。乗客もグループの人間だ。
しかし、なんと途中で脱走兵の襲撃に遭う。彼らの目的は金品だったので、金目の物を渡して走行を続けたが、今度は逆に東独軍がやってきて、危険だから護衛するという。
仕方なくそれに従うが、後ろからホンモノの路線バスが間近に迫ってくる。
怪しまれたらすぐに露見してしまう。
なんとかベルリン迄たどり着くが、そこで、バスの正体がばれ、マイケルとサラ、そして乗客たちもちりぢりに逃走。
だが、ベルリンでも、マイケルとサラに追手が迫っていた。
そんな彼らに近づくクチンスカ伯爵夫人(リラ・ケドロヴァ)。彼女はふたりを警官から隠すように地下のカフェに誘う。
ほんとにまずいコーヒー、と嘆きながら彼女は、自分はポーランドから東独に来たのだが、共産圏の生活はもういやだ、アメリカに行きたい。しかしアメリカでの保証人がいないと出国できない。なんとか保証人になってもらえないか、と訴える。
彼女の訴えを聞き入れると、夫人はマイケルが探していた郵便局に案内してくれたが、追手がやってきて大混乱。夫人は階段で転倒し、アメリカ行きは見果てぬ夢になってしまった。
ようやく郵便局から、最終目的の旅行代理店の前に辿り着くと、そこで待っていた「π」が、バレエ団の荷物に紛れて船でスウェーデンに逃げるよう告げた。荷物係も協力者だという。
彼らが立ち去った後、街頭テレビには、逃走したマイケル達のニュースが流れていた。
劇場に入り、バレエを見るマイケルとサラだったが、なんと舞台に出ていたダンサー(タマラ・トゥマーノワ)は、東ベルリン行きの機内で一緒だった女だった。彼女は舞台からマイケルたちを見つけて警察に通報。
すぐにやってきた警察は、マイケルとサラを探し始める。
とっさにマイケルは「火事だ!」と叫んだ。
そのため劇場は大混乱に。またしてもその混乱に乗じて逃げ出したマイケルとサラは、舞台衣装入れのカゴに隠れ、船に乗るのだった・・
これはなかなか面白かったです!
ヒッチコック作品らしい、ハラハラドキドキ感が最後まで続き、はたしてマイケルとサラが無事に逃げおおせられるのか、「手に汗握る」展開。
いかにも東西冷戦真っただ中らしい映画。
東独の風景は、よもやそこでロケするわけには行かないので、セットでの撮影らしい。
ベルリン美術館で、マイケルが館内を歩いていると、追手のグロメクがあとからやってきて、姿は見えないけど、コツコツと靴音が響いている・・そういう恐怖感を出すのがとてもうまい。
バスで逃げるときの緊張感も、物語を終盤に向けて盛り上げている。
ジュリー・アンドリュースはこの作品の直前には「サウンド・オブ・ミュージック」や「メリー・ポピンズ」に出演していたから、超売れっ子の頃の出演だったのね。
それに単にサスペンス・スリラー映画というだけでなく、北欧のフィヨルドの中を運行する船、東独の町並みなど、旅情を加えたロードムービーの要素もあるのが見ていて楽しい。
マイケルとサラが籠に隠れて逃げる、というシーンで、なんと原始的な・・と思ったものの、21世紀でもいましたよね、楽器ケースに隠れて関西空港から逃亡した某氏とか(;´∀`)。
さて、あの伯爵夫人はあのあとどうなったんだろうか、と気になってしまう。
ベルリンの壁が崩壊するのは、この映画から23年後である。
タイトルの「カーテン」って鉄のカーテンのことだったのね。
(5月27日、NHKーBSプレミアム)
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