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2020年12月19日11:38

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映画「バルカン超特急」(NHK-BS)<ネタバレ大いにあり>

ヨーロッパの、とある国・バンドリカ(ドイツがモデル?)。
雪崩が起きて国際列車が不通となり、乗客たちは近くのホテルに宿泊せざるを得なくなるが、そういう事情だもんだからホテルは大混雑。
イギリス人男性二人連れのカルティゴットとチャータースは、なんとメイド部屋をあてがわれた。
しかし彼らのあとからホテルにやってきたアイリス(マーガレット・ロックウッド)は、お金持ちの娘で、常連で金払いもいいためか、支配人の扱いは別格。
カルティゴットらはそんな彼女に反感を持つ。
アイリスの上階にはクラリネット奏者のギルバート(マイケル・レッドグレイブ)が宿泊していたが、演奏やダンスで足を踏み鳴らす音に耐え切れず、アイリスは支配人に、追い出してくれ、と要望。ギルバートは鼻持ちならない女だと、彼女の部屋にやってきて大げんかになる。

宿泊客の、家庭教師をしている老婦人・フロイ(メイ・ウィッティ)は、窓辺で下から聞こえるギター弾きのメロディーに聴き入る(なんだか、演歌っぽい。日本の古賀メロディーみたいだ(;'∀') )。

翌日、なんとか列車が動きだし、宿泊客らがロンドン行きに乗車(おそらく、フランスまで行って、船に乗り換えなんでしょうけど)。

アイリスが乗車しようとする前、建物の上から突然植木鉢が落ちてきて頭を直撃。
意識もうろうとなるが、そばにいたフロイの支えで彼女と一緒にようやく列車に乗り込んだ。

アイリスとフロイのコンパートメントには、数人の男女が同席。
頭が痛むアイリスを気遣い、フロイは、食堂車へ誘う。そしてこれを飲みなさいとハーブティーの包みを取り出し、給仕にお茶にするよう頼むのだった。
アイリスが改めて名前をたずねると、彼女は曇った窓に「FROY」と指で書いて綴りを教える。

コンパートメントに戻ったアイリスは、しばらくうたたねをしていた。
ところが、目を覚ますと、前に座っているはずのフロイがいない。ほかの乗客に尋ねると「そんな人は最初からいなかった」と口々に言うではないか。
驚いたアイリスは列車中を探し回る。
同乗の高名なハーツ医師(ポール・ルーカス)は、頭を打ったゆえの記憶障害だろう、老婦人はあなたの幻覚だ、と断言。
やはり乗車のギルバートもいたが、彼女と前夜は喧嘩していたものの、その様子が心配になり、事情をアイリスから聞いて、一緒に捜索。

食堂車では例のイギリス人二人連れとも会っていたので、フロイのことをたずねるが、二人はアイリスに悪感情を抱いていたせいもあり、「そんな人知りません」とにべもない。
ここまで言われるとアイリスも、ほんとうにフロイさんは幻覚?と思えてきてしまう。

ところが、ギルバートは、食堂車のコックがゴミを窓から投棄するところに出くわす。飛んできたゴミが窓に張り付いたが、そこにはハーブティー、の表示があるパッケージの紙が。
驚いてアイリスと共に食堂車に向かうと、そこには窓に「FROY」の文字が残されていた。
やっぱりあれは幻覚などではなかったのだ!

次の停車駅で、ハーツ医師は、重病人を搬入させる、わたしが手術する患者だ、と告げる。
しかし、アイリスとギルバートは、列車のどこかにフロイが監禁されているのでは?と疑う。荷物室には、フロイの眼鏡が落ちており、そこにやってきたのは、コンパートメントで一緒だった奇術師。彼があやしい、と追いかけるが、奇術師は箱の中に隠れ、そして見事に脱出して姿をくらました。

さらにアイリスたちは、運び込まれた患者がひょっとしてフロイとすり替えられたのでは?と客室に向かう。そして、予想通り、包帯を巻かれ一見して顔が分からない患者は、フロイだった。

実はハーツ医師はバンドリカのスパイ。そして一見、ふつうのおばちゃんのフロイもイギリスのスパイだった。
アイリスの頭上に落ちてきた植木鉢も、フロイを狙ったものだった。
アイリスたちは国際情報戦に巻き込まれていたのだった。
ハーツ医師は正体が露見したために、列車を止めさせ、線路沿いにやってきたバンドリカの一味が、フロイを殺そうと銃撃戦に。からくも列車から逃げ出したフロイ。
彼女はギルバートに、ホテルでギター弾きの演奏していたメロディーを教え、これが暗号になっている、もしわたしに何かあったら、ロンドンの外務省に伝えて、と言い残していた。


何気なく見始めた映画だったが、これは面白い!
最初、ホテル内のシーンは話がまどろっこしい面もあるが、その後の伏線がいろいろとちりばめられているのだ。
1938年の製作。
にもかかわらず、サスペンスたっぷりで、今見てもドキドキ感が半端じゃない。
フロイはなぜ消えた?なぜみんな見ていないというのか?というなぞ解きもあるし(実はコンパートメントの乗客はハーツ医師とグル、また別の乗客は、不倫旅行がバレるのを恐れて、フロイを見ていないとうその証言をする)、最終盤の銃撃戦は現在からするとゆるい感じもするが、戦前にこういう映画が作られていたのか、と思うと正直すごいな、と思う。
なんたって監督はヒッチコック。
窓に「FROY」の文字が浮かび上がり、彼女の存在を証明するシーンは秀逸である。
彼は映画にも自身が登場することでも知られている。
ラスト近く、アイリスとギルバートが乗り込んだタクシー運転手がヒッチコック?と思ったが、実はヴィクトリア駅近くで煙草を喫って通り過ぎるシーンに出ているそうだ。

この映画制作の1938年と言えば、ドイツがミュンヘン会談後、ズデーデン地方を割譲させた年。
翌39年にドイツはポーランドに攻め入って第二次世界大戦がはじまるわけだから、なんともキナ臭い時期である。
原作はアガサ・クリスティーかと思ったら違うのね(;´∀`)
(12月17日、NHK BSプレミアム)
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