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2020年08月03日07:16

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1410

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1410          

村上春樹 「一人称単数」          

村上春樹の6年ぶりの小説で、短編集としては
6年ぶりとなる。8編の短編が収められている。

最後の作品だけが書下ろしで、あとの7編は
雑誌に掲載されたものだ。

タイトルが示すとおり、この短編集の特長は
一人称単数、すなわち主人公の「僕」が語る
スタイルとなっている。つまり客観的な書き手が
いて登場する人物が彼ということではない。
このスタイルはハードボイルド小説の特長の
一つでもあるし、村上も初期から中期の作品では
このスタイルを踏襲していた。最近は主人公は
3人称の扱いとなっている。

この8編の作品だが、エッセーのようでもあり
フィクションのようでもある。村上の小説で
登場する主人公は多かれ少なかれ村上の人格の
一部が現れていると思うが、今回の作品では
どれもその傾向が色濃く出ている。つまり、
私小説的である。

その意味で、村上ファンは村上をより知るために
本書を見逃すことはできない。その一方で、
これまで村上作品を読んだことのない人が
初めて本書で村上に触れるということは薦め
られない。暗喩的で、かつ結論が見えない彼の
作品にとまどう可能性がある。

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