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2020年06月22日09:48

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増村保造監督特集〜蝶人水無月映画劇場その3

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2161〜76


1)増村保造監督の「青空娘」
増村&白坂&若尾トリオの第1作であるが、若尾の魅力が全篇をはじけまくっている。武者小路実篤のノリ全開だが、こういう人間像を1957年に作ってしまった増村の力量は驚嘆に値する。1955年の「緑はるかに」でデビューした浅岡ルリ子なんかメじゃないぜ。

2)増村保造監督の「赤い天使」
1966年製作の増村保造の傑作。中国戦線で苦闘する芦田軍医の不能を救う天使のような若尾看護婦!戦争を女と男が生きている「個人」の視点から天才が描破し尽くした奇跡のように美しい作品なり。

3)増村保造監督の「好色一代男」
1961年製作の市川雷蔵主演の西鶴物。侍の男権社会への憎悪が徹底されているが、あまり面白くない。

4)増村保造監督の「最高殊勲夫人」
源氏鶏太の原作を増村保造が1959年に演出したウエルメイドの喜劇映画。若尾文子、川口浩などが出ているが、船越英二の達者な演技に注目せよ。

5)吉村公三郎、市川昆、増村保造監督の「女経」
1960年製作で脚本はすべて八住利男。「耳を噛みたがる女」は若尾文子&吉村公三郎、「物を高く売りつける女」は山本富士子&市川昆、「恋を忘れていた女」は京マチ子&増村保造によるオムニバスだが、やはり最後の増村が優れている。

6)増村保造監督の「からっ風野郎」
1960年の三島由紀夫主演映画。同級生の増村にしごかれながら、三島が旧来のヤクザ映画にはみられない新鮮な人物像をえがき出していて悪くない。

7)増村保造監督の「妻は告白する」
恋人の川口浩の会社をずぶぬれの和服姿で訪れた若尾文子の壮絶な姿に畏怖し、絶句する。こんな映画を撮ってしまうとはなんと凄い監督だろう。1961年の天下の名作。

8)増村保造監督の「卍」
若尾文子、岸田今日子があやしくからむ谷崎原作、1964年の同性愛映画。次第に岸田の夫船越英二が巻き込まれていき、3つどもえの愛憎が燃えたぎっていく。

9)増村保造監督の「清作の妻」
吉田絃二郎の原作を新藤兼人が1965年に脚色。若尾文子と田村高廣が好演している。それにしても出征直前の夫の双眼を錆釘で突き刺す愛とはなんだろう!?

10)増村保造監督の「兵隊やくざ」
1965年の製作。戦争と軍隊を嫌う田村高廣上等兵と新兵勝新太郎のはぐれ者コンビは最高。胸のすくような大活躍を見せてくれる。

11)増村保造監督の「陸軍中野学校」
日露戦争の明石大佐を目指せと説く加東大介中佐の影響で、非情なスパイの世界に入ってしまった市川雷蔵。恋人小川真由美を殺してしまうに至る悲劇であるが、それでもやむを得ないと考え、大矛盾を無視しつつ中国戦線に向かう1966年の映画。

12)増村保造監督の「でんきくらげ」
1970年に渥美マリを起用して撮られたセクスイ映画。この年渥美はなんと8本ものお色気映画を撮って、撮られているが、だから後年裸には出ないとゴネ気持ちはよく分かる。渥美の相手の川津裕介が生き生きと描かれている。

13)増村保造監督の「しびれくらげ」
「でんきくらげ」と同じ70年の同工異色お色気映画であるが、脚本が不出来で渥美や川津の良さを全くいかせていない増村には珍しい超駄作ずら。

14)増村保造監督の「やくざ絶唱」
黒岩重吾原作の1970年の映画。語勝新太郎の兄が大谷直子の妹をどうしようもなく愛してしまった悲劇。

15)増村保造監督の「お遊び」
1971年の関根恵子主演の文字通りの青春映画。惚れたヤクザの少年に真心を捧げる少女の切なさが胸に迫る。穴のあいた船でかなづちの2人が乗り出す印象的なラストに注目せよ!

16)増村保造監督の「この子の七つのお祝いに」
1982年の増村の遺作。岩下志麻が不幸な星の下に生まれたヒロインを熱演、杉浦直樹、岸田今日子、根津甚八がアシストする怪奇ミステリー映画だが、面白い。4年後のに62歳で死んだ増村にはもっともっと撮ってほしかったずら。

      増村は小津成瀬超え溝口と並ぶ偉大な監督 蝶人


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