インド映画「パッドマン 5億人の女性を救った男」、観てきました。
先日観た「こんな夜更けにバナナかよ」同様、昨年のうちに観ていたら絶対にベストテンに突っ込んでましたね。素晴らしい作品でした。
無学だけど実直で腕のいい職人で、しかも「超絶」な愛妻家の主人公が一念発起して安価な生理用ナプキンの開発にのめり込み、家族やコミュニティ、そして愛する妻からも背を向けられながらやがて成功に至るという、驚きと感動の物語。
「終身犯」「フィクサー」等のジョン・フランケンハイマー作品で描かれる「男の執念」と、フランク・キャプラの諸作品に見られる「HOLY IDIOT(聖なる愚者)」の物語がドッキングしたような超王道エンタテインメントになってるのが本作のいいところ。特に後半なんか、主人公ラクシュミがジェームズ・スチュアートかゲーリー・クーパーに見えましたもんね。
本作の良さはそれだけではありません。
女性の生理が今もってタブーとされている社会の旧弊を告発するのみならず、生理用ナプキンが「高級品」であり、あまり裕福でない層の女性たちは(ラクシュミの言に従えば)雑巾にすらしたくないような汚れた布を使わざるを得ないという現状、つまり貧困や格差の問題に触れている点も見逃せません。
また、起業者は一人だけ大もうけして笑う事など目指してはならない、大勢の人々を喜ばせることを考えよう、という、いささか青臭くはあるけれど極めて真っ当な主張をストレートに描いていることも忘れてはならないでしょう。後半、ラクシュミが自ら発明した安価ナプキン製造機を儲け度外視で普及させ、雇用の拡大に貢献する件りでは涙が出ましたね。
ラスト近く、ラクシュミはそれまでの功績が讃えられ国際連合で褒章されるに至るのですが、その授賞式での演説が本当に素晴らしかったです。全部記憶してここに書き写してしまいたいくらい。
さすがにそんな優れた脳みそは持ち合わせていないので、特に気に入った一節を。
「国を強くするのは、男や父親ではない。女性であり、母親であり、姉妹たちなのだ」
本当に、その通りだと思います。
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