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2018年09月27日16:24

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★洋ちゃんの読観聴 No. 1297

★洋ちゃんの読観聴 No. 1297

映画 「評決、ふたつの希望」                    

地味でマジメな映画は一般的にそれほど長く映画館で
上映されない。だが、この映画は公開から2ヶ月以上もの
ロングランとなっている。

日本では珍しいレバノンの映画だ。監督もレバノン人で
舞台もレバノンだ。そして描かれるテーマは世界の分断
である。

自動車修理工場を経営するトニーは妻との2人暮らしで
まもなく待望の赤ん坊が生まれる予定だ。彼らは
マンションに住んでいるのだが、補修作業を行っている
現場監督のヤーセルとケンカになる。マンションの
バルコニーからの水漏れと樋の修理という些細な
トラブルだった。

トニーはキリスト教徒のレバノン人で、ヤーセルは
パレスチナ難民。怒りの勢いでトニーはヤーセルを
傷つける言葉を発する。ヤーセルはトニーを殴り
倒しケガを負わせる。

トニーはヤーセルを訴え裁判となるが、双方の
弁護士はそれぞれヤーセルの有罪と無罪を勝ち取る
ため、それぞれの人生の履歴をさぐり、議論は
白熱し、レバノンの内戦の問題までエスカレート
していく。それぞれ市民の応援団があり、この裁判は
国を二分する社会問題となっていく。最後は
大統領までが登場して和解を促すが・・・。

作品の中で軽く触れられているものの、あまり日本人
にはなじみのないレバノン内戦(1975年〜1990年)を
知っておくと、この映画がより分かりやすいかもしれ
ない。ヨルダンの内戦により多くのパレスチナ難民が
レバノンに流入した。この結果、キリスト教徒が中心の
レバノン人保守派とイスラム教徒であるパレスチナ
難民との間で内戦となってしまった。この国家の
トラウマが今も残っている。なので、ささいなトラブルが
大きな事件となってしまうのだ。

これはレバノンを舞台としたフィクションであるが、
世界の各国で起こっている分断を象徴化している
と、僕は感じた。たとえば、アメリカでも主張が
エスカレートするトランプ大統領支持勢力と、
マイノリティの立場を守ろうとするリベラル勢力との
対決がある。

ところで、映画の本編が終わった後にキャスト、
スタッフなどのエンディングロールが続くが、
それが始まると多くの観客は席を立つ。ところが、
この映画の場合、最後の最後まで席を立つ人は
いなかった。(銀座シャンテで、客数は50人くらい
だったろうか。)本当の映画ファンが来ているのだな
と思った。

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