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2018年07月22日09:40

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鎌倉芸術館にて「鎌倉交響楽団第111回定期演奏会」を聴いて



音楽千夜一夜第415回&鎌倉ちょっと不思議な物語第403回

無謀にも生命の危険を顧みることなく、棺桶に片足を突っ込んだ老人が、よたよたとやってきました。相変わらずの猛暑でうだる大船界隈まで、久しぶりの鎌響です。

このオケは昨年6月に、何者かによってすべての打楽器、楽譜、譜面台を台車ごと盗まれるという大変な被害に遭いましたが、幸い851765円のカンパが集まり、そのお金で楽器を新たに購入し、今回がそのお披露目のコンサートということでした。

曲目は1)モザールの「後宮からの誘拐」序曲、2)ブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」、3)ブルックナーの交響曲第5番の3曲でしたが、もちろんおめあては演奏時間が80分にも及ぶブルックナーの超大曲でした。

いくら地方オケの名門といってもアマチュアのオケですし、名うての難曲です。かててくわえて、この気違いじみた猛暑。きっと練習も思うに任せなかったに違いありません。
けれども私がひそかに果たして第4楽章まで無事に辿りつけるだろうかと案じたのは杞憂に終わり、まことに聞きごたえのある充実した名演奏でした。

オケのスタミナと技量を勘案したのか、指揮者の富平恭平選手は、はじめは処女の如くういういしく、半ばは熟女の如くしたたかに、そして最後の最後のクライマックスでは、それまでに蓄えたあらゆるエネルギーを最終コーダの最高点において爆発させ、この至難の大曲を脱兎のごとく鮮やかに着地させたのでした。

かのチェリビダッケやヴァントの最高の演奏のような、その場に「神が顕現する」が如き至高の境地にまでは末だし、でしたが、終始冷静沈着にして、要所要所をビシバシと決めた富平選手、そしてその要求に些かの余裕すら残して見事に応えた鎌響と名コンマスの五味俊哉氏に拍手喝采! パチパチ。

 ティンパニーが叩き始めたら最後です指揮者だってとめられないよ 蝶人




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