今日は「午前十時の映画祭8」で上映中の「ペーパームーン」を観てきました。
ケチな詐欺師のモーゼと、孤児の少女アディがちょっとした「仕事」で小金を稼ぎます。
二人がポンコツ車で田舎道を走っていると、わずかな荷物を荷車に積んでとぼとぼと歩く家族連れの姿が。
おそらくは銀行に家を差し押さえられ、追い出されてしまったのでしょう。その打ちひしがれた様子に、アディは「ねえ、このお金、少し分けてあげようよ。大統領も『国民は皆で助け合わなければ』と言ってるわ」と提案します。
しかしモーゼはつれなく言い返します。
「大統領がどんな生活をしてるか知ってるか? テーブルの上に食器をじかに置かないような暮らしだぞ」
言葉を失ったアディは力なく呟くのでした。
「大統領は『今は好景気だ』って言ってるのに・・・」
「景気復活の兆し」「株価は上昇している」「有効求人倍率も向上」なんて空しい言葉がバカみたいに踊る今の日本と同じですね、ここに描かれていることは。
世界大恐慌の時代を描いた、40年以上も前に作られた映画が、現代の日本の合わせ鏡になっているという状況は、私には悪い冗談としか思えません。
若い人に「昔の映画を、もっと観た方がいいよ」と私はよく言うのですが、その理由はここにあります。
旧作を観て「いま」を見出すという作業は、私はとても大切なことだと思うのです。
午後は西荻窪のササユリカフェさんで軽い昼食。
展示された原画の数々を眺めながらジンジャーカレーをいただくと、なんだか気持ちがほっこりします。
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