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2017年08月06日09:56

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スティーブ・シルバーマン著「自閉症の世界」を読んで

照る日曇る日第981回

さいきん自閉症や発達障害を商売のネタにする連中があとを絶たないので、あまり近寄らないようにしているのですが、これは講談社のブルーバックスから出た本だから、それほど酷くはないだろうと手にとってみました。

タイトルからして自閉症の専門家が書いた書物かと思ったのですが、さにあらず、米国サンフランシスコ在住の科学ジャーナリストの手になるものでした。

頭の良い人らしく、自閉症研究の歴史や現在に至るまでの症者、学者、研究者、一般世間の状況については要領よく書けていて、ことに映画「レインマン」の製作秘話などは面白かったのですが、所詮当事者にあらざるライターの「第3者的かきもの」の域を出ていない点が、40過ぎの自閉症者を子に持つ親としては、とてもまどろこしく、とても歯がゆい。

多様化し複雑怪奇を極めつつある現下の情勢に対し、個々の症者の多様性に懇切丁寧に寄り添いながら、関係者全員がきめ細かく対応すべし、とする著者の主張には共感できるのですが、一方では、いつになったら解明できるか誰にも分からない自閉症の本質の究明などは、費用対効果の予測すら不明だから中止せよ、と叫んでいる点には、まったく賛同できません。

そもそも医学はいったいなんのために、誰のためにあるのか? 原因不明の症状をどうやって対症療法だけで治療できるのか? 

こういう基本的な問題について、著者は胸に手を当てて、よーく考えてみてほしい。
当事者の不安と苦悩も知らないで、夜郎自大な妄言を吐かないでもらいたいものです。

    米国のリトルボーイに殺されしヒロシマの民よみな起き上がれ 蝶人



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